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少年少女の戦極時代Ⅱ

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運命の決着編
  第126話 戒斗、新たなる“変身”


 舞の件を知らせるべく、戒斗と湊を探していた凰蓮と城乃内が、帰ってきた。しかも体中に傷を作って。

「大変よ。ムッシュ・バナーヌが暴走したわ」
「ザックの奴も、裏切りやがって…っ」

 咲たちの間に驚愕が走った。

 一番に飛び出そうとしたのは、案の定、紘汰だった。その紘汰を凰蓮が止めた。

「無茶よ! 今の彼は今までの彼とは違う。バケモノじみた強さなのよ」
「行かせてくれ! もうこれ以上、仲間を失うのは御免だ」

 たったさっき消えた舞を思って、咲の胸が痛んだ。最後のトリガーを引いたのは、ヘキサなのだ。本当ならヘキサに付きっきりで慰めてやりたい。しかし、この中で変身できるメンバーは、紘汰と咲だけだ。

 紘汰は凰蓮を振り解き、階段を登ってガレージのドアから飛び出して行った。

 咲は胸の前で拳を握った。

「みんなは二人の手当てしてあげて。あたしが行く! ヘキサのことおねがい!」

 咲は戦極ドライバーと、ドラゴンフルーツとヒマワリの錠前を引っ掴み、紘汰を追ってガレージを出た。






 紘汰と咲が駆けつけた庭園は、すでにインベスの群れで埋め尽くされていた。

 その奥に立つ戒斗と湊、それにザック――裏切った、という城乃内の言葉は嘘ではなかった。ザックは世界を滅ぼす側についた。胸が、痛かった。

「答えろ、戒斗!! どうしてこんなことするんだ!」
「サガラに視せられた。舞が“はじまりの女”となりこの時間軸から消えた瞬間を。あいつと再び未来で巡り会うには、黄金の果実を手に入れるしかない。戦極凌馬はすでに討った」

 戒斗は紘汰を指差した。

「今、資格があるのは、俺と、お前だけだ」

 はじまりの女は黄金の果実を渡す「男」を選ぶ。ペコとチャッキーから聞いた。女子である咲は最初から候補者に含まれていない。

(でもでも。舞さんはあたしのとこにも来た。じゃああたしの役目って、なに?)


「俺はこの世界を破壊し! 舞と黄金の果実を手に入れる。――決着をつけよう。葛葉紘汰」
「そんなこと……舞が望むわけねえだろ!」
「それがどうした!」

 戒斗はバナナの錠前を開錠し、戦極ドライバーにセットし、カットした。

《 カモン  バナナアームズ  Knight of Spear 》

 バナナの鎧が戒斗を装甲し、バロンへと変身させた。
 このところ、ずっとレモンエナジーアームズで戦う戒斗ばかり見て来たせいで、悠長にも新鮮さを感じてしまった。

「やめろ、戒斗っ」

 やめろと言われてやめるなら、それは駆紋戒斗ではない。
 紘汰もそれを知っているからか、すぐにオレンジの錠前を開錠して戦極ドライバーにセットし、鎧武に変身した。

 大橙丸とバナスピアがぶつかり合う。

 湊とザックは動かない。だから咲も動かなかった。動く時が来るとすれば、それは湊かザックが二人の戦いに手を出した時だ。

 生半可な覚悟で、鎧武とバロンの打ち合いに飛び込めはしない。少なくとも戒斗のほうは、本気で紘汰を殺しにかかっているのだ。そのような“殺し合い”の中に飛び込めるほど、咲は勇猛果敢ではなかった。

 鎧武のほうが、不利と取ってか、カチドキロックシードをバックルにセット、カットした。鎧武を夕焼け色の甲冑が装甲した。

『戒斗!!』

 鎧武が出したのは火縄DJ大橙銃。鎧武はそれにカチドキの錠前をセットした。
 バロンもまたカッティングブレードを切って必殺の構えに入った。

 バナナ型のソニックブームと、虹色の砲撃が、同時に放たれた。
 押し勝ったのは虹色の砲撃のほうだ。
 砲撃はバロンに直撃し、大爆発を起こした。

 倒れた戒斗の変身は解け、彼の周囲の石畳からは煙が上がるほど。

 そんな中。コドモの咲は皆より背が低いから、見えてしまった。
 倒れたまま、戒斗が、不気味に笑ったのが。 
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