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戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー

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第四話 由比大尉!正雪の方じゃないからな!!その九

「テーマパークもハイキングも」
「大好きです」
「お母さんが美味しいお弁当作ってくれて」
「お父さんが笑顔で手を引いてくれて」
「あんな楽しいことないです」
「凄く嬉しいです」
「それならでごわす」
 大人になった時にというのだ。
「皆このことを忘れずにでごわす」
「はい、いい大人になります」
「素晴らしい親に」
「僕達のお父さんお母さんみたいに」
「そうなります」
「おいどんはそう願っているでごわす」
 心からという言葉だった。
「皆くれぐれも頼むでごわす」
「はい、わかりました」
「僕達いい大人になります」
 こう言ってだ、そしてだった。
 西郷は子供達と童心のまま遊んだ、そしてその後でだった。
 己の仕事に戻る、そこでだった。
 執務室において大山、桂の応対を受けてだ、こう言うのだった。
「次の作戦でごわすな」
「はい、由比大尉がです」
「早速取り掛かっております」
「由比大尉でごわすか」
 その名を聞いてだ、西郷は二人に対して言った。
「あの御仁は弓でごわしたな」
「日帝衆一の弓の達人です」
「弓で遅れを取ったことはありませぬ」
 まさにと答える大山と桂だった。
「まして次の勝負は弓道」
「弓道ならばです」
「ジャスティスカイザーも卑怯な真似は出来ませぬ」
「斬り合いでも投げ合いでもないのですから」
 もっと言えば殴り合いでもない。
「如何にあの二人が卑怯千万であっても」
「何が出来るでしょうか」
「ですから今度こそは」
「我等が勝ちます」
「そして遂にです」
「最後の悲願に取り掛かれます」
 それも可能だというのだ。
「再併合にです」
「いよいよ」
「そうでごわすな」
 そう聞いてだ、確かな声で頷く西郷だった。
「由比大尉の腕に加え」
「弓道ですから」
「心配は無用です」
「弓道は論語にもあるでごわす」
 正確に言うと弓自体だ、この時代の中国でも弓道はなかった。尚孔子は弓も使えたがこれは彼の家が武人の家だったからだ。
「的を射る、そうした勝負であるからこそ」
「誠の心が出ますね」
「そうしたものであると」
「そう書いてあるでごわす」
 だからこそ、というのだ。
「それで、でごわす」
「必ずですね」
「由比大尉は勝利を収めますね」
「元老もそうお考えですか」
「必勝だと」
「大尉に全て任せるでごわす」
 不動の言葉だった、まさに。
「そのうえで、でごわす」
「はい、では」
「その様に」
 二人も答える、そしてだった。
 日帝衆は勝利を確信していた、今度こそはジャスティスカイザーも卑怯な手段で汚く勝つことは出来ないだろうとだ。
 平安神宮の前でだ、丹精な細面の若者が弓を引き絞っていた、服装は陸軍衆の軍服である。
 その軍服で弓を引き絞っている、だがそれは普通の射ち方ではなかった。
 その射ち方を見てだ、観衆達は口々に言うのだった。
「これは幾ら何でもな」
「ああ、無理だよな」
「後ろ向きでいきなり振り向いて射ってな」
「的の真ん中を射るとかな」
「しかも五百メートル向こうだぜ」
 規格外の距離である。 
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