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戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー

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第三話 田母神少佐!名前は気のせいだ!その五

「論語に書かれているでごわす」
「元老、宜しいでしょうか」
 青少年の一人が右手を挙げて西郷に質問をした。彼等も正座で論語を開いている。そのうえでの問いである。
「人のあり方ですが」
「何でごわすか」
「論語、孔子から孟子や荀子が出ましたね」
「儒者でごわすな」
「孟子は性善説、荀子は性悪説ですね」
 それぞれ言っていることは違うというのだ。
「どちらが正しいのでしょうか」
「どちらも正しいでごわす」
 これが西郷の返答であった。
「間違ってはいないでごわす」
「孟子も荀子もですか」
 即ち性善説でも性悪説でもだというのだ。
「間違っていないのですか」
「おはんは孟子を読まれたでごわすか」
「はい」
 若者は西郷に澄んだ声で答えた。
「一度」
「では荀子は」
「そちらも読みました」
「一度でごわすな」
「はい、どちらも」
「ではもう一度どちらも読むでごわす」
 孟子荀子共にというのだ。
「さすれば同じことを言っていることがわかるでごわす」
「孟子も荀子もですか」
「二人の偉大な先達は学問で己を律することを教えているでごわす」
「自身の心を」
「確かに善悪の主張の違いがあるでごわすが」
 それでもだというのだ。
「その主張は同じでごわす」
「例え善でも悪でもですね」
「学び己を高めることでごわす」
「それが大事なのですね」
「つまり努力でごわす」
 西郷はこの言葉はその若者だけでなく若者達全員に言った、半数程は女子であるが彼女達にも言った。
「人は己の才に奢らず常に己を磨くことでごわす」
「そのことがですね」
「大事なのですね」
「そうでごわす、汚い身体も清めれば」
 孟子の話であった。
「祭事を行えるだけ清らかになるでごわす」
「逆に最初清らかでもですね」
「何もしなければ」
「汚くなるでごわす」
「それで、ですね」
「人は常に努力すべきなのですね」
「駄目な者は何をしても駄目かというとでごわす」
 この言葉はというと。
「誤りでごわす」
「学べばですね」
「努力していけば」
「駄目ではなくなり申す」
 出来ないことが出来る様になるというのだ。
「そうなるでごわす」
「だからこそ」
「私達も」
「日々精進するでごわす」
 これが西郷の若者達への言葉だった。
「いいでごわすか」
「はい、わかりました」
「では我々も」
「石は必ず珠になるでごわす」
 努力すればというのだ。
「よいでごわすな、君達は石であっても」
「必ずですね」
「珠になれるのですね」
「そうでごわす、おいどんからお願いがありもっそ」
 その願いこそがだった。 
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