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魔法薬を好きなように

作者:黒昼白夜
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第7話 集団検診ごっこかなぁ

ワインも一口つけた後には、さっそくだが今日メイドである彼女らに、集まってもらったことに対する内容を実行にうつそうか。

「一応、念のためだけど、自分が飲めるワインの限界量は把握しているかな? 今日のは普段飲んでいるワインより酔いやすいから、少々控えめにしておくことだけ、注意してほしい」

俺はワインを飲んでいる二人の少女をみて、納得しているかのように

「わかりました」

との返事に満足して、

「それでは、俺のところの便秘薬を飲みだしてから、魔法学院の下剤を飲んだ人はいるかな?」

3人ともノーだ。いい傾向だ。
魔法学院でも下剤はだすが、メイドにだすのは、腹痛がおこりかかるか、おなかのハリが強くなってから出すから、俺が条件をつけながらも提供することにした毎日飲む便秘薬に、手をだす一因になっているのだろう。

「それと、便秘薬を飲む前と飲んだ後で状態が同じか悪くなったという人はいるかな?」

これも3人ともノーだ。つまり、改善しているという自覚症状はあるわけだ。まあ、それでなければ、今晩、これから行われることがある程度はわかっているはずだから、便秘の症状に改善か、同じ程度でなければ、最低限くることは無いだろう。ワインが少々高級なのが飲める程度では、まずこないと思う。

「残りの2人は明日のメイドの仕事は普通通りにおこなうんだよね?」

クララとローラの2人が互いに顔を見合わせてから、

「ええ」

「ならば順番としては早番だというフラヴィ、次はワインの影響が少ないうちにローラで、最後にワインをこの部屋では飲んでないクララの順番で診ていくけど、異存は無いね?」

「はい」

「それでは、フラヴィは横にあるベッドで横になって、おなかをまずは診せてくれるかな?」

そう、彼女らのおなかの調子を診る必要があるから触診、つまり腹部に直接手をあてて、身体の水の流れを正確に読み取ることを、あらかじめ条件にしてあったのだ。臀部、つま
りおしりの方もさわるが、こっちはスカート生地の上からということで、なるべく薄手のスカートをはいて来てもらうようにしている。スカート生地の上からというのは、多少の正確さにかける。しかし、直接さわるとなれば、おなかとちがって、さすがに躊躇するだろうってところだ。

俺は、テーブルからベッドの奥側へ移動し、他のメイドからも手が見える位置にもってくる。俺自身が水のメイジではあっても、医師ではないからどんなことをするのか、みせることによって、変なことはしないよとアピールのためだ。まあ、変なことをするのなら、テーブルの上にあったワインやジュースに魔法薬をいれておけばいいだけなのだが、少女の感性は別物であろう。

「へそより2サントぐらい上まで、上着をあげてくれるかな。それから、疑問があったら、質問はかまわないからね」

とは言うものの、今回は嫌だと感じても口にはださないで、そのまま診させて、次回からこの集団検診もどきにこなくなるだけだろう。だからこそ、今日は特に注意が必要だ。

最初のフラヴィが言う通りにしてくれたので、両手のひらを腹部にあてて、手から伝わる普通の人間としての感触と、水の流れなどを感じていく。やはり平民の少女の腹部はしまりがあっていいな……って、今回はそっちを気にしちゃいけないんだよ、俺は。

手を動かすとともに、

「少し押すことがあるから、もし痛かったら言ってほしい。水の感覚で痛みを感じそうなところもある程度はわかるが、どれくらい押したら、痛いって感じるかは個人差があるから、素直につたえてほしい」

これは、本当だ。水の流れは血液が主体で、あとは細胞に含まれる水分のかたまりの違いから、普通の細胞と神経の細胞を見分けているが、神経細胞ははっきりとはつかみきれない。神経細胞でも細いのは、俺の水のメイジとしての感覚ではとらえきれないものだ。こういう感覚に優秀なのは、細部まで本当にわかるらしいが、そう多くはいないらしい。

大腸の上部から、下部に向けて少しずつなんらかの塊を動かそうとしている、大腸の動きは、大腸そのものの動きと、大腸の中にある物質の水分から、ある程度わかる。下部に行くほど、中身の水分量は減っていき、直腸のあたりでは、かなり少なくなっているのが、経験的にわかっている。だから、大腸の中身の流れと、それが動かなくなる部分が、大便としてでていく部分になるが、そこの水分量が少なければ、便秘の兆候だ。

素肌からスカートの付近をさわったところで、俺の手の動きをとめて手を離した。

「えーと、フラヴィ」

「はい、なんでしょうか?」

「このスカートより薄手の生地のスカートは持っていないのかな?」

「これが、一番薄い生地のスカートなんですけど……」

って、しかたがないよな。予測はついていたのだが、平民のスカートは長い年月の間、着ることを前提にしているので、生地は厚いものが多い。

「そうか、平民だったものな。悪いけど、他の二人のスカート生地の感触を確認させてくれるかい? あー、スソのあたりでかまわないからね」

いきなり話を振られた、ローラとクララは目をぱちくりさせていた。なのでもう一度言う。

「ローラとクララ、二人のスカート生地の厚さを確認させてくれなか? もちろん、スソの身体の横のラインのところでかまわない」

って、まん前からなら、普通平民はパンティをはいていないから、下手をすれば、股間が丸見えになってしまうかもしれない。特に今回は薄手のスカートで、その下ははいてこないか、はいてくるにしても、おなかの触診をしたり、臀部をさわるからスカート生地は薄いものだ。スカートの上から触れるので、スカートの下の物は脱いでもらうこととしてもある。
どういう想像を彼女らがしたのかだが、おなかを直接さわるからということで、下着であるコルセットとか、シミーズなんかも、きていないようだ。スカートの下もドロワーズあたりもはいていないだろう。はいてきて脱ぐのだったら、その間ぐらいは、反対側を向いているつもりだったのだが、彼女らに貴族へそういうお願いをするという、発想そのものがなかったのだろう。

2人の承諾を得て、スカート生地の厚さを確認したが、

「うーん。やはり3人とも生地が厚いな。変わりになるものを出すからちょっとまってくれ」

なので、俺が事前に用意してあったのは、貴族のパーティドレスとしても使える上に、その下は透けて見えない黒系の生地である。

「この生地だけど、スカートのかわりに腰に巻いてほしい。それから、二重になるところは、横になるようにしてほしい。スカートをはきかえる間は、部屋の外にいる。だから、3人ともスカートからその生地に代え終わったら、部屋の中からドアをノックしてくれないかな?」

今度は、本人たちの様子も見ずに、俺は部屋の外にでて、部屋の中からノックがあるのを待っていた。感じようと思ったら、水の感覚に集中すればよいだけだが、だまってどうころぶのか待っているのも、また暇つぶしにはよい。そう思っていたら、俺の部屋の内側からノック音がした。さて、退出者がでるかな?

そう思って、ドアを開けると、3人とも黒い生地を巻きスカート風にまいていた。

「それでは、フラヴィを診るのを続けようか」

そしてあらためて黒地のスカートの上から、触診を開始して下腹部の途中で手を放す。本来なら、もう少し下部までいきたいところだが、あまりに股間に近くなりすぎるだろう。

「今度は反対にまわっておなかを下側にしてくれるかな」

ベッドの上のフラヴィはこのあと臀部をさわられることを気にかけていたのか、ちょっとばかり時間がかけたが、おなかを下にして、背中を上にした。

「じゃあ、続けて診るからね」

臀部よりちょっと上部あたりから、触診を再開する。臀部の中央部付近までさぐったところで、やめておく。これ以上は、割れている部分の中にスカートの生地ごとそわせていかないといけないから、嫌がる可能性がより高くなる。

「フラヴィ。もうこれで終わりだよ。詳しくは後で話すから、ワインでも飲んでこっちの様子でもみていてくれないかな。次は、ローラだったね。こっちのベッドにきて、へそより上2セントまでおなかを出して横になってほしい」

フラヴィとローラだが、入れ替わる際に、巻きスカートを手で押さえている。ずり落ちそうな感じでもあるんだろう。俺は、その間にノートにフラヴィの簡単な所見を記入しておいた。

ローラが横になっておなかを出しているので、

「おなかを診ていくけどいいかな?」

「大丈夫です」

えーと、大丈夫って、心配なのかな。どちらにしても、フラヴィと同じ手順だ。ローラにはフラヴィとかわってもらっている最中に、フラヴィの診察内容をノートにメモをしていく。

最後のクララも触診をしていくが、生地のあたりに入ったところで、水の感覚に違和感を覚えた。いったんその違和感は保留として、背後から診るときにもう少しくわしく診てみよう。フラヴィと同じく、おなかを下にしてもらってから、さっきの違和感を覚えたあたりのところから、診ていくが、やはりそうだ。いったん手を放して、ノートにメモをとると、クララから、

「えーと、何か悪いところでも見つかったんですか?」

「いや、悪いわけじゃなくて、どちらかというと良い方面かな。ワインに弱いと、このノートに記録が残っているんだけど、多少ワインを飲んだ量が多くても二日酔いとかしないんじゃないかな?」

そう、肝臓の調子がすこぶる良いように見受けられるのだ。二日酔いに関係するのは、あとは血液の中の酵素が関係しているはずだが、これは水の感覚だけでははっきりしない。アルコールをつけたわたでも皮膚に10分ほどつけて、反応がでるかどうかをみてみるのが簡単だろう。それでかえってきた反応は、

「クララは、ワインに弱いんじゃないんですよ。かなり飲めますよ」

って、テーブルの方から少し酔い加減になりかかっている、ローラが言ってきた。

「おやおや、それだったら、ジュースでなくてワインでも頼めばよかったのに」

「それはやめておいた方がいいですよ。なんたって酒ぐせが悪いですから」

「そうなのかい?」

クララは少しばかり頬を赤くそめて、

「ワインの1杯ぐらいはなんともないんですけど、その日の調子によって、2~4杯ぐらいで、覚えていないことがあるんです。だから、そのあとのことは自分でも酒ぐせが悪いって言われているので、控えているんです」

「そういうことなら、この件は良いから、続きを診させてもらうね」

最後のローラも見終わり、ノートに書き終えたところで、いったんテーブルの席についた。

「じゃあ、皆結果を聞きたいよね?」

3人とも肯定の意をしめしたので、

「簡単にいうと、3人とも便秘気味だ。今回は3人とも初めて診るので、次回1週間後に再度診たところで、今日の結果と比較して、今の魔法薬で良いのか、異なる魔法薬にするのか相談しながらきめていきたいと思っているのだけど」

「えー、そうなんですか?」

「疑問はもっともだが、水のメイジであっても、水の秘薬がなければ骨折をすぐに直せないように限界はあるんだ。今回の場合は、ある程度は誰にでもきくけれど、きちんと効果が発揮されるのは10日間飲み続けて安定するタイプの便秘薬だから、3人ともまだ改善方向に行くはずなんだよ」

「そうだったんですか」

「それでも、便秘薬を飲み初めてから魔法学院の下剤は飲まないですんでいるんだろう。次回の時は今より、悪い状態にはなっていないと思うよ」

「そうですね」

「それで、改めてだけど、俺はジャック・ド・アミアン。アミアン男爵家の次男で、今はミス・モンモランシの使い魔を行っている。このあたりはだいたい知っているよね?」

「はい」

「それでは、アミアン領って知っているかい?」

こんな風に俺が生まれた領地の話をしたら、その後には各メイドの出身地をきいたりと、かわるがわる話をしていって、各自の特徴を覚えようと思ったのだが、時間の制限ということで、

「さて最初にテーブルの上にあった紙の条件として書いてあった時間になった。今日はおしまいにするとして、便秘薬を渡そう」

3人のメイドは、ともにこの部屋のベッドメイクや掃除に選択などをしてくれているメイドたちだ。その娘たちにあてて条件を書いていたのだから当然なんだけどね。書いていった順番に魔法薬の量が多い小瓶を渡していく。

「それと、次回から、今はいている黒い生地をはいていてもらいたい。スカートとかに改造してもよいけれど、生地自体が平民の普段着よりも、破れやすいから扱いに注意してくれないかな」

「そうなんですか」

って、残念そうにしているのはフラヴィだったから、次回もくるだろう。あと、普段使いのスカートとかにするんだったら、それに見合う上半身の服装も生地代は高くつくのが、頭から抜けているのだろう。少々酔っているようだから。

「それで、そのまま帰るかな? それとも、スカートを履き替えるかな?」

先ほどので知恵がついたのだろう。
そういうことで、俺は自分の部屋の外の廊下で立っていた。
 
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