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東方大冒録

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第一部・紅魔郷~瀟洒なメイドの小さな願い~
  霊夢と魔理沙の魂、強制召還。

 
前書き
前回のあらすじ。

紫がなんかほっこりしました。

そして藍がブチ切れました。 

 
「よっと」

暗基はスキマから出て、地面に降り立った。そこは木々がうっそうとしていて、いかにも妖怪たちの住処です、とでもアピールしているようだった。

「うわぁ、すげぇ……。そして気持ち悪いくらいに悪い霊気が充満してやがる……」

暗基の能力『霊力を開放する程度の能力』が、この森の危険性を物語っていた。

「まぁ、探索はやることを終えてからにするとして、まずは」

そういうと暗基はスキマの中で渡されたカバンから、藍から託された祈祷棒と八卦炉を取り出す。その2つは相変わらず何かを暗基に訴えかけてきた。

「声が聞こえるんだから、声をかけることだって出来るだろ」

そして暗基は祈祷棒と八卦炉に力をこめる。すると、なにかが少しずつ、形を成していった。やがて、祈祷棒からはとある巫女、八卦炉からはとある魔法使いが亡霊のような姿で現れた。

「えっ、ど、どうなってるの、これ!!?」
「なにがなんだかさっぱりなんだぜ!!?」

2人はどうしてまたこの姿でたっているのか、まったくわかっていない。その中で暗基は、

(よし、うまくいった。これで意思疎通を図れる!)

と、一人心の中でガッツポーズをしていた。さっそく話しかける。

「なぁ、お2人さん」
「誰!?」
「うおっ!? 誰だ?」

2人は、当然ともいえる反応をしてくれた。暗基は1から説明をしていく。

「お前らが、博麗霊夢と、霧雨魔理沙だな。おれは暗基零。外来人、つまりこの幻想郷の住人ではない者だ」

それに対し、霊夢と魔理沙は特に驚く様子はなかった。

「……、私たちのことは、紫から聞いたの?」
「あぁ。そうだ。おれは紫から、『幻想郷を救ってほしい』と頼まれ、この幻想郷に来た。異変を起こしているのが、どうやらおれの身内みたいでな」

そういうと、魔理沙は何か引っかかったのか、

「ん、ってことは、優理亜の弟なのかお前!!?」
「あぁ。姉の優理亜がいつも世話になってる」

優理亜の弟だと聞くと、霊夢と魔理沙は安心したのか、

「そう、あんたが、『幻想郷の希望』ってずっと紫が言ってた人なのね」
「そうか……、優理亜の弟か……。言われてみれば目とか似てるな」

安堵したような反応をしてくれた。

「まぁ、そういうことだ。で、これからが本題だ。まず、お前らを呼び出せたのは、おれの能力である『霊力を開放する程度の能力』を使って、霊夢が封印されていた祈祷棒、魔理沙が封印されていた八卦炉に宿っていたお前たちの霊力を解放して、こうしてほぼもとの姿で呼び出すことが出来たんだ」
「なるほどね。それで? 私は貴方に封印されたときの状態を教えてあげればいいの?」

さすがは霊夢。するどい。

「あぁ。出来る限り、詳しく教えてくれ」
「わかったわ。私はそのとき、紅魔館に行っていたわ。紅魔館がその被害を受けたって言うのを聞いてね。そしてそこの主とかを探しているうちに、優理亜とばったり会っちゃったのよ。私の勘が、優理亜がこの異変を起こしたって言っていたから、優理亜を退治しようと勝負を申し込んだんだけど、申し込んだと同時に私の偽者を創り出して、そいつと戦わなくちゃならなくなったの。そして気が付いたら、このありさまだったわ……」
「なるほどな……。魔理沙は?」
「私も大体同じだぜ。冥界に行って、幽々子と妖夢の様子を見に行こうとしたら、途中でアリスの偽者と私の偽者に会っちまって……。まともに攻撃を食らっちまったぜ……」
「……、紫が言っていたことは本当だったんだな……」

『偽りを捻じ曲げる程度の能力』。これほどまでとは……。

「まぁ、リベンジしたいところではあるんだけど、この姿じゃさすがに何も出来ないから、貴方に任せるわ。零、だっけ? よろしくね」
「霊夢に同じく。よろしくな零!」
「あぁ。よろしくな、霊夢、魔理沙」






























「さて」

暗基は紫から渡された10枚のスペルカードを取り出す。それを見た霊夢が興味を示すように話しかけてきた。

「あら、それスペルカードじゃない? 紫からもらったの?」
「あぁ。自分の思い描いたスペルを念じるとスペルが使えるとか言ってたけど……」
「おっ、スペカだ。暗基も使えんのか?」
「おれは渡されただけだからわからん。実際どんな技を使えるのかわからない」
「おぉ、さすが紫。大事なことを言わないのは安定だな」
「そうね……」

実際、問題である。どうしたらスペカは機能するのか、そもそも暗基に弾幕を打つことが出来るのか、まったくわからない。どうしたものか……。と考えていると、

「あっ」

暗基が何かを思いついたようだ。

「何か思いついたの?」
「私にも見せてくれだぜ」
「そう急かすな。まぁ見ててくれよ」

すると暗基はスペカを指で挟みながら、スペルを唱える。



煌景『世界三台夜景の灯(せかいさんだいやけいのともしび)



すると、暗基の正面を、白と黄色の弾幕が覆い尽くしていく。

「なんというか、フランのスターボウブレイクみたいだな」
「確かにそうね……」
「いいや、ちょっと違うぜ」

そういうと暗基は指を鳴らした。

すると、ところどころで弾幕たちは大きく膨らんでいき、爆発する。そしてまた爆発した場所に弾幕が発生していく。

「へぇ、なかなかセンスあるわね。相手をよけさせず、それでいて相手を魅了することも考えてられているわ……」
「さすがの霊夢もよけられないんじゃないかこれ……」
「……否定しきれないところがつらい」

どうやら好評だったようだ。

「じゃ、次は霊夢、お前の力借りるぞ」
「えっ?」
「いくぞ!」

霊符『夢想封印「妖」』

「!!?」

暗基がとても聞き覚えのあるスペルを放つ。だがそれは、霊夢や魔理沙がよく知っているようなものではなかった。
8つの陰陽球が現れることには変わりないのだが、その色が、黒というか紫というか、闇を表すのに最適な色をしていたのだ。そしてその8つの陰陽球が、世界三台夜景の灯をかき消していく。

「まさか、私の十八番をコピーされるとはね……」
「まぁ、参考にしただけで、コピッたわけじゃないさ。次は魔理沙、お前のだ」
「ま、まさか!?」

恋符『マスタースパーク ~白暗審判(ジャッジメント)~』

「おぉ! やっぱりか!!」

これまた聞き覚えのあるスペルを放つ。今度は暗基の両腕から、白い極太レーザーと黒い極太レーザーが同時に発射される。

「すごいなぜろ! 私のマスタースパークとどっちが強いか勝負したいくらいだ!」
「ははは……。ラストはこれだ」


霊爆『ソウル・ファンネル』


暗基がまたスペルを叫ぶ。すると、暗基の周りに青白い小さな物体が浮遊し始めた。

「なに、これ?」
「最後のやつ、なんかしょっぱくないか?」
「これを見てから言ってみな? 行け!! ファンネル!!」

指を刺しながら暗基が叫ぶと、浮遊物体は暗基が指をさした木の周りに集まり、一斉砲撃した。その砲撃により、木は粉々になった。

「う、うわぁ……」
「前言撤回。いちばんえげつなかった」






































「とまぁ、こんなところか。さてと、ある程度準備も終わったし、霊夢、魔理沙、一度封印するぞ」
「えー、いやよそんなの」
「そうだぜ、このままいさせろ」
「あのな、お前らのその状態を維持させるのって、すごく疲れるんだよ。だから休ませてくれ」
「「Boo------!!」」
「……、はい、さようなら」

暗基が祈祷棒と八卦炉を持つと、霊夢と魔理沙の姿は瞬く間に消えてしまった。

「さてと、探索開始だな」

暗基は歩き始める。 
 

 
後書き
次回、ルーミアを出そうかなと。
感想などあれば、どんどんお願いします。 
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