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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
18.July・Night:『The Planet Wind』
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の強度が合っていない犯罪者が散見されていますの」
「登録ミスか、組織的な改竄……現実的じゃないか。預かり知らないところで物事が進んでんのは、何て言うか……気に入らないな」

 と、空調(エアコン)が壊れた室内の熱の所為か。はたまた、悩みを一度に抱えた所為か。黒子の笑顔に知らず、浮わついたか。
 苛々する悩み事を抱えた時の癖で、少し前の銀行強盗から奪った煙草(せんりひん)を銜えて安ライターで火を点した。

「――――フゥ」

 肺腑一杯に広がったニコチンとタールの混じる香気を味わい、燻らせる。少しは、気が紛れた気がした。

「って……対馬さん、貴男?!」
「え? あ――」

 しまった、と気付いて携帯灰皿に煙草をぶち込んだ――時には、もう遅い。ばっちりと目撃した黒子は、呆れた眼差しでこちらを見ている。

「あ、アハハ……いゃあ、若気の至りと言いますか――――イダッ?!」

 その瞬間、頭に雷でも墜ちたかのような衝撃。それが、真っ直ぐに脊髄を駆け抜けた。
 要するに、物凄く痛かった。

「よ〜う、誰かと思えばラッキーボーイじゃんよ。相変わらず、更正には程遠いみたいじゃん?」
「お久しぶり、対馬くん。そっか、もう夏かぁ……」
「よ、黄泉川(よみがわ)さん……お久しぶりっす……後、人を蝉か蛍みたく言わないで下さいよ、鉄装(てっそう)さん」

 ヘルメットで嚆矢をぶん殴った、警察の機動部隊のような衣裳に身を包んだショートヘアーの女性『黄泉川(よみがわ)?愛穂(まなほ)』と、三つ編みにメガネの女性『鉄装(てっそう)?綴里(つづり)』に向き直る。
 彼女達は、『警備員(アンチスキル)』の隊員……そして、学校の教師である。つまりは。

「じゃあ、没収ね」
「……はい」

 優しく微笑みながら、ゴツい手袋に包まれた手を差し出した綴里に、逆らわず煙草を渡した。
 綴里だけなら何とか(だま)くらかせもしようが、兎も角、その隣の女性に関しては逆らっても無駄だ。

――何しろ今年の年始、ある無能力者(レベル0)の(とは言え明らかに喧嘩慣れした、『無能力者を甚振(いたぶ)る、思い上がった能力者』を倒す事に特化した)一団を偶然二人で相手にした事があったんだが、ほぼ一人で、しかも『武器を使わず』に制圧した使い手だからな。
 戦慄したね、しかも笑ってたし。この人だけには逆らうまい。

 と、無線が入ったらしく二人が『了解』と、口々に言葉を返す。

「それじゃあ、あっちでお話ししましょうか」
「え? いえ、もう罰ならこの脳天に直撃……」
「『両手に花』って奴じゃん? よかったじゃんよ、男の夢だろ?」

 そして、愛穂と綴里に左右からガッチリホールドされた。『両手に花』というか、完璧に『
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