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渦巻く滄海 紅き空 【上】
三 邂逅
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「はい」
時を忘れた教室は、その原因である少年の言葉で動き始めた。
「君のだよね、このクナイ…」
そう言って少年は、先ほどクナイを投げた張本人―音隠れのザクにクナイを手渡した。
状況についていけず、しばし呆けていたザクは慌てて受け取り、驚愕した。
「あんた…どうやって…」
確かにそのクナイは、カブトに向かって自分が思い切り投げつけたモノだった。しかもクナイを囮にして超音波攻撃をしたはずなのに、目の前の少年は平然としている。何の変化も見られないカブトの様子から察するに、クナイを渡してきたこの少年が何かやったのは一目瞭然である。だが超音波を瞬時に打ち消すような素振りなど目の前の少年は一切していないはずだ。


「ナルト!」 「ナルト様!」
呆然とするザクを突き飛ばし、多由也と君麻呂は金髪の少年の許へ駆けつけ、
「今まで何処に行ってやがった!?」 「今までどちらにいらっしゃったのですか!?」
同じ質問を同時に問いかけ、お互いを睨みつけた。
「テメ―、ウチが先に訊きてえんだよ!すっこんでな!」
「僕が先にお尋ねしたんだ。君は口を閉じていろ」
「…二人とも静かにしろ。木ノ葉の忍びさん達が驚いてるだろ」
金髪少年の諫めに、二人は押し黙った。


すぐに少年は、愕然としている木ノ葉の忍び達と向き合った。
「うちの里の者が失礼をした。すまない」
「い、いや…大丈夫だ」
彼の謝礼に、とっさに反応できたのはシカマルのみだった。
なぜなら、木ノ葉の同期達は揃いも揃って、驚愕の表情を浮かべていたからだ。
特に女性群は、未だ彼に見惚れたままだ。唯一、ナルだけは驚異の目を向けている。
それに内心ほっとしながら、シカマルは少年をじっと観察した。

驚くほど、己と幼馴染であるナルと似ている。男と女の違いを含めても、容姿が瓜二つである。背丈もナルと大して変わらない。しかしながら、外見のみで評価したとしても二人には決定的な違いがあるとシカマルは瞬時に打ち立てた。
ナル似の少年―彼は大人びすぎている―。



「テメ―、何じろじろ見てんだ」
検討するかのように見ていたことで業を煮やしたのか、多由也と君麻呂が少年を庇うように前に出る。
その二人を制して、ナル似の少年は優しい声で話しかけてきた。
「そこの、金髪のツインテールの子」
「へあっ!?」
急に声をかけられたナルが、素っ頓狂な声を上げる。
「うん、君の名前教えてくれる?」
「…人に名前を聞く時は、自分の名前から先に言うべきだってばよ」
「はは、そりゃそうだ」
ナルの言葉に気を悪くした様子もなく、彼はクスクス笑った。


「俺の名前は…うずまきナルトだ…」
「オレってば、波風ナル!」


互いに自己紹介を終えた二人は、正反対の顔つきだった。

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