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インフィニット・ア・ライブ
第三話「語 ~talk~」
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―――二年前

 鬱蒼と針葉樹が生い茂る森の中、曇天の雲から降りしきる雨に構わず走る一組の男女がいた。

「全く!全く貴方は馬鹿ですの!?命を何だと思っているんですの!?」
「ゲホッゲホッ。お前がそんな事言うなんてな。とうとう幻聴まで聴こえてきたぜ」

 女は深紅と漆黒のドレスを着こなし、男は軍服のような服を着ていた。ただし、両者共血まみれで、だが。

「ふざけないで下さいまし!!何で私なんか庇ったのですか!?このままでは死にますよ!!」
「俺という人間が死んでも、世界にとっても精霊にとっても、大したことはないだろう?」

 口から血を吐く男を、女は手近な木に腰掛けさせると上半身の服を脱がせ、傷口に自身の服を裂いて縛り付ける。

「ああもう!大アリですわ!!貴方だけですわよ!私をこんなにも困らせて、心配させて!こんなにも、こんなにもモヤモヤした気持ちにさせるなんて」

 悲しみや嬉しさといった様々な感情が入り交ざった顔を歪め、目には知らずに涙を溜めていた。

「ハハッ。そいつは、光栄だな」
「笑い事なんかでは、ありませんわよ!!」

 力無く笑う男に、女は怒鳴りつける。

「それはスマン。なあ、狂三」
「何ですの?怪我人は大人しく手当てされてなさいな」
「契約の事、覚えてるか?」

 男が何を言おうとしているのか感づいたのか、女はビクッと体を震わせる。

「いい加減黙っててくださいな!」
「あぁ、もっと生きたムゥッ!?」

 突如、女が男に覆い被さったため、男の言葉が途切れる。

「ン。言わせませんわよ。貴方のせいで、私は狂おうとしのに、悪になろうとしたのに、なり切れずに中途半端になってしまったんですの!その責任を取りなさい!あと、今の私のファーストキスの責任も、ですわ」
「これは、手厳しいな。って、あれ?体が!?」

 照れ隠しなのか、女は明後日に顔を向けて男も困ったように笑う。
 そして、男の傷口が一瞬光ったかと思うと、次の瞬間には傷が治っていた。

「ウソ!?傷が治ってる?ん?私の霊力もおかしいですわね」
「ッ!?狂三!お前、服が!?」

 男の指摘通り、女の服が光の粒子となって消えていく。

「えっ?み、見ないで下さいまし!!」
「お前って、意外とうヴヴヴ!!」

 咄嗟に手で体を隠した女は、どこからか取り出したスタンガンを男の首筋に突き付けて気絶させる。

「ハアハア。全く、キスだけでなく、裸まで見られるとは……。こうなったら、最後まで責任取ってもらいますわよ、一夏さん」

 フフフッ、と楽しそうに微笑む女は、静かに眠る男の頬をなでる。

ガサガサッ!!

 不意に茂みが揺れて、人影がヌッと現れる。

「む?この辺りで声が聞こえた
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