暁 〜小説投稿サイト〜
トーゴの異世界無双
第三十八話 身分なんて関係ねえよな
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「き、気づいてらっしゃったのですか?」


 まあ、怖がってる奴らは、ほとんどが私服だったしな。
 貴族はほぼ全員が私服着てるみたいだから、判断がし易かった。


「中には平民もいるだろうけどな。でもオレを恐れている貴族の方が断然多い。何故なら、オレが平民だからだ」


 そう。闘悟が身分の高い貴族なら何の問題も無かった。
 この世界では、貴族=強者という方程式を信じている者がほとんどだ。
 確かに強者の多くが貴族に多いのは事実なのだろう。
 だが、平民と呼ばれる者の中にも、決して貴族に劣らない力を持つ者だっている。
 その中でも突出した存在でもある闘悟に、貴族達は恐怖を抱いている。


 総じてプライドの高い貴族は、平民に負けることを大なり小なり恐れている。
 それは貴族が誇りや名誉を重んじるからだ。
 身分の高い者は、低い者を蔑(さげす)み、低俗(ていぞく)として扱っている。
 そんな者に負ければ、そんな低俗の者以下というレッテルを貼られてしまう。
 プライドの高い貴族は、それを何より恐れる。
 だから貴族を、しかも三賢人を父に持つ高位貴族であるリューイを破った闘悟の標的が、いつ自分達に移るのかと貴族連中はビクビクしている。


 しかし、全ての貴族がそのように思っているわけではない。
 ただ単に闘悟の力の異常さに恐怖している者もいる。
 だが、闘悟に言わせればそんな連中にはまだ救いがある。
 問題なのは、未だ平民を低俗として扱う者達だ。
 特に強い権力を持っている者は性質が悪い。
 リューイもそうだったが、平民を蔑むことに慣れてしまっていることが問題だ。
 恐らく、そう育てられたのだろうが、日本で育った闘悟にとって理解しにくいことだった。
 クィルは闘悟の話を悲しそうな表情で聞いていた。


「クィルは今の貴族をどう思う?」
「それは……」


 答えにくいのは仕方無い。
 彼女は貴族よりも高位な、王族なのだ。
 下手な言動は、国に影響を及ぼしかねない。
 軽はずみなことは言えないだろう。


「オレは、今のこの状況を望んで作ったんだよ」
「え? ……それはどういう……?」
「オレは異世界人だけど平民だ。これで、面白くなる」


 闘悟がそう言って笑いを作るが、何が面白いのかクィルには分からない。
 傍にいるミラニと顔を合わすがミラニも首を傾げている。
 ミラニはクィルの代弁(だいべん)として口を開く。


「何が面白いのだ?」
「平民は貴族に勝てない。それが誰もが信じてる、この世界の法則なんだろ?」


 馬鹿げているけどな。


「まあ、そう信じている者が多いのは確かだ」
「だけど、オレは勝った。それも完膚無(かんぷな)きま
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ