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椿姫
第一幕その三
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た。
「乾杯の音頭をとって頂けるでしょうか」
「宜しいのですか?僕で」
「ええ」
 ヴィオレッタはにこりと笑ってそれを認めた。
「どうか宜しくお願いします」
「わかりました。それでは」
 それを受けてまずは畏まった。
「いきますよ」
「はい」
 アルフレードは口を開いた。その口で乾杯の音頭を取った。歌によって。
「皆さん、杯を乾かしましょう、この美によって飾られた楽しい杯を」
「ええ!」
 皆それに応えた。
「この束の間の幸せの時を快楽に身を任せるのです。そして愛をそそのかす妖しい甘い震えの中に全てを委ねるのです」
「甘い震えの中に」
「はい。そして美しい眼差しが」
 ここでヴィオレッタを見た。
「胸に全能の力を与えてくれるでしょう」
「そう、その通り」
「快楽に全てを委ねよう。皆で」
「マドモアゼル」
 誰かがヴィオレッタに声をかけてきた。
「貴女も」
「私もですか」
「はい。是非共」
「・・・・・・・・・」
 先程のアルフレードの視線には気付いていた。今も見ている。彼女はその視線がわかっていた。そしてそれに応えるかのように再び立ち上がった。そして歌に参加してきた。
「私の楽しい時を皆さんと共に過ごすことを御許し下さい」
「勿論ですとも」
 皆喜んでそれを迎えた。

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