第二話 焦土戦術
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『私が今こうしているのもヴァレンシュタインの頭領のおかげです。あの時、頭領が助けてくれなければ私はワーグナーの親父にとんでもねぇ恥をかかせているところでした。感謝しております』
「あれはリーフェンシュタールさんの所為じゃ有りませんよ。仕方なかったんです……」
掟、その二。他所の組織の人間の前では自分の頭領は名前を付けて親父と呼ばなければならない。俺の立場ならヴァレンシュタインの親父だ。しかしなんか凄い話だな、ウチの親っさんがリーフェンシュタールを救った? それがワーグナーの頭領の面子を守ったって事? そりゃワーグナーの頭領も下手に出るわ。ウルマンとルーデルを見たけど二人とも目が点だ。俺と同じ気持ちなんだと思う、吃驚仰天だ。
『リーフェンシュタールの言う通りだぜ、黒姫の。あんたには世話になりっぱなしだ。今回もカストロプの件じゃ、しこたま儲けさせてもらった。声をかけてくれた事、感謝しているぜ』
「それこそ感謝するのはこちらの方です。買占めを手伝ってもらったんですからね。ワーグナー一家の協力無しでは上手く行きませんでした」
『あんたにそう言って貰えると嬉しいぜ』
親っさんの言葉にワーグナーの頭領が嬉しそうに頷いた。確かに今回のカストロプの反乱ではがっつり儲けた。あんな荒稼ぎは黒姫一家も初めてだったよ。ウチがフェザーン商人なら今年のシンドバット賞は間違いなかっただろう。フェザーン商人達からも海賊が儲け過ぎと非難が起きたほどだ。伝説の商人、バランタイン・カウフも親っさんの前じゃ子供だってさ。海賊には惜しいんだそうだ。
財務尚書カストロプ公が事故死した直後から黒姫一家とワーグナー一家はカストロプ星系、マリーンドルフ星系の特産物を買占め始めた。他にもクラインゲルト子爵家、バルトバッフェル男爵家、ミュンツァー男爵家、リューデリッツ伯爵家に協力してもらって特産物を買い占めた。
殆どが重金属、軽金属、希少金属の金属類だったけど変わった所では天然ガス、冷凍マグロを買い占めたよ。マリーンドルフ産のマグロって美味しいって有名だ、皇帝陛下への献上品にもなってる。一般庶民にはなかなか手に入らない代物だ。俺も喰った事は無い、辺境だと近場の安いボーデン産のマグロが精々だ。
カストロプの特産物の殆どは俺達で買い占めたはずだ、ごくわずかな分だけをフェザーン商人が買い占めた。よく分からなかったのはマリーンドルフだ、何でそっちまで買い占めるのかさっぱり分からなかった。親っさんに訊いても答えてくれないしな。多分マリーンドルフ伯が病気かなんかで余命が短いんだろうと思った。
カストロプの特産物の値が上がってそろそろ売り時かなと思っていたら、カストロプ公爵家の跡継ぎが何か下手を打ったらしくて反逆を起こしちまった。吃驚したよ、財務尚
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