暁 〜小説投稿サイト〜
機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第13話:里帰り、そして・・・
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
。ちょっと机の中漁らせてもらうよ)

机の引き出しを上から順番に開けていくと,2段目の引き出しから
俺は探していたものを見つけた。
それは,姉ちゃんが死ぬ直前までつけていた日記帳だった。

(そういえば,一度勝手に読んで姉ちゃん殴られたっけ・・・)

俺は後ろの方から白紙のページをめくっていくと,
最後に書かれた日記を見つけた。それは,6月22日。
姉ちゃんが死ぬ前日のものだった。


 6月22日
 
 今日は,ゼスト隊長に稽古をつけてもらった。
 最後に模擬戦をやったけど,やっぱり歯が立たなかった。
 いつか,互角にやり合える日がくるのかしら?
 ま,こんなふうに弱気になってる間は無理かな?
 明日は,出撃だ。
 隊長によれば,ジェイル・スカリエッティのアジトの一つみたい。
 今度こそ,足手まといにならないように頑張らなくちゃ。
 そのためにも今日は早く寝よう。


(ジェイル・スカリエッティ・・・だと!?)

俺は狼狽していた。
想像を遥かに飛び越えた大物の名前が飛び出したこともそうだが,
自分が指揮する立場になったからこそわかる,作戦の無謀さに。
いかに首都防衛隊が精鋭とはいえ、たかが一部隊という少数で
挑んではいけない相手だと思った。

(これは・・・当たりか?)

俺はさらに調査を続ける必要性を感じ,姉ちゃんの日記帳をそっとカバンに
しまいこむと,部屋を出ることにした。

(・・・姉ちゃん。姉ちゃんの敵は俺がとるから。もう少しだけ待ってくれな)


1階に降りると,母さんがキッチンで昼食を作っていた。

「ああ,降りてきたのね,ゲオルグ。今日のお昼はオムライスよ。
 あんた,好物だったでしょう?」
 
「ああ,うん。ありがとう,母さん」

俺がそう言うと母さんは何かに気づいたのか俺のほうを振り返った。

「あんた・・・泣いてたの?」

「は?泣いてねーよ」

俺はそう言って,自分の目から涙が溢れているのに気がついた。

「ゴメン,気がつかなかった。やっぱり,こみ上げてくるものがあったみたい」

母さんはエプロンで手を拭くと,俺の頭を抱き寄せた。
俺は母さんよりも頭一つぶん背が高いので,ちょっと不自然な感じだったが。

「あんたはお姉ちゃん子だったからね。泣きたい時は,泣けばいいのよ」

母さんの言葉を聞いて,俺は母さんの胸に顔を押し付け,声を上げて泣いた。


昼食にはすっかり遅くなってしまったが,俺と母さんはダイニングで
母さん特製のオムライスを食べていた。

「美味しい?」

「うん。うまいよ。昔と全然かわってない」

「ありがとう」

「母さん,ごめんな。みっともなく泣いたりして」

俺が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ