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少女は 見えない糸だけをたよりに
第三部
3-1
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 私は、一度アパートに帰って、歩いて行くことにしたのだ。燿さんに貰ったモスグリーンのストレートパンツに黒のカシミヤのセーターを着て、1時間程歩いたと思う。最初、正面の門のところに着いたのだけど、塀沿いに歩いてみた。そうしたら、別の勝手口みたいなところが・・。迷いながらも呼び鈴を押してみた。しばらく、待ったが、ようやく誰かの気配が

「ごめんなさいね あちらから来られると思ってたんですの どうぞ お待ちしてましたのよ 入って」と、着物姿のお母さんが出てきてくれた。

 そして、案内されたのは、お台所。テーブルに座って、お茶を出してくれた。すごい香りで渋みもなくて甘ったるいの。初めて、こんなの飲んだ。

「燿さんたらね 香波ちゃんが来るからお願いねって 自分は、出掛けてしまって 昔から我儘でね でも、一人娘だからって、主人も甘くってね 香波ちゃんも 振りまわされてるでしょう?」

「いえ そんなことないですよ いつも 優しくて 私なんかにも、気掛けてもらって ありがたいと思っているんです」

「そう あの子 あなたのこと 本当の妹みたいに思っているみたい 詳しいこと聞いて 何なんですけど あなた 親御さんも居なくて、いきなり、京都に来たんですって?」

「私 小さい頃 両親を二人とも亡くしてしまって それから、おばぁちゃんに育ててもらったんですけど そのおばぁちゃんも、私が学校帰ってきた時・・遅かったんです 脳溢血で・・ 独りぼっちになってしまって あても無いまま 働くところ探していたら、燿さんに出会って だから、あの人 私の恩人なんです それに、親切にしてくださって・・」

「そう でも ご両親はあなたに 宝物を残してくださったみたい その澄んだ眼と真っ直ぐな心よ あの子ね あなたに初めて会った時 とても純真なんでね このまま突き放したら、大変だと感じたんだって だから、何かのご縁よね このまま ウチに居てくれてもいいのよ 遠慮しないで」

「ありがとうございます 私 そんなー」

「いいのよ 遠慮しないでね あっ そう 今夜 主人も燿さんも 帰り遅いから、ご飯要らないらしいのよ 二人で食べましょ と、いっても里芋の煮つけとお漬物しかないのー」 

 確かに、食卓には、里芋の煮っころがしと漬物、そして汁物しかなかった。

「あのー おば様 おいしいです」と、言ったら

「そうでしょ 私 福井の山奥の出なの 実家から送ってくれるのよ おいしいの でもね 香波ちやん おば様じゃぁなくって お母さんって言ってね」

「え えー そんなー いきなり」

「いいのよ その方が 私も うれしいのよ 燿さんも 香波ちゃんのこと妹が出来たと思っているのよ あの子 一人っ子だったから」

 食べ終わると、お母さんは、何
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