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少女は 見えない糸だけをたよりに
第三部
3-1
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 あなた 女の子なんですからね 変な言い方しないでくださいね それと、お酌してもらうのも駄目ですよ」と、念押しして、お母さんは出て行った。

「なに言ってんだ ワシだって心得ているわ」と、独り言みたいに・・ 

「ところで お店のほうは 楽しいかねー」

「ええ お店のみんなも親切にしてくれますし、お客様も良い人ばっかりで 毎日が楽しいです」

「そうか 燿が言って居たんだけどな 香波さんが来た当初は すごい可愛い男の子がいるって、ウワサになつて、女の子のお客が増えたんだってな、それから、しばらくすると、今度は男が増えたってな あいつも、他人には言うくせに、失礼なこと言うよな 我儘に育ててしまったからな」

「そうですかー 私には、そんなこと・・少し、一方的なとこありますけど・・でも、恩人だと思っていますから」

「そうか 燿は 心は優しいからな きついように見えるけど ワシ等はしばらく子供が出来なかったんだ ようやく授かったのが燿なんだ 実はな 聡とは16離れていてな 知り合いの会社で事務員として働いていたのを、ワシが強引に嫁になってくれって迫ってな 2年かかったよ うなづいてくれるまで 聡は高校の時の同級生が忘れられなかったみたいなんだな こんなこと話したのは、聡には内緒な 燿にも」

「あのー どうして、奥様は 受けてくれたんですか? 結婚」

「そりゃーな ワシの誠意だよ 男前のところカナ うわぁっはっはーはー でもな、申し込んで、1年後ぐらいに、ようやくデートに応じてくれてな 嬉しかったよ それからワシは手も繋がなかったんだ 我慢した そしたら、半年後くらいに、向こうから繋いできたよ 真面目な男だと思ったんだろう」

「そーいうのって すごいですね 私 尊敬します」

 その時、燿さんが帰ってきたみたいだった。

「わぁー 香波ちゃん お父様とふたり っきりでー お父様 香波をいじめてない?」

「なに を・・ 仲良くやっているぞ 燿こそ 帰りが遅すぎるぞ」

「今夜で営業 最終だったから お掃除が大変だったのよ もう、クタクタ 髪の毛もベタベタよー」

「香波ちゃん お風呂いこー まだでしょ お母様も もう、あがったみたいだから」

「えー じゃぁ お お父様 失礼いたします」と、畳におでこを付けてお辞儀していた。なんだか、習慣とか作法がわかんないだものー

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