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少女は 見えない糸だけをたよりに
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 あの人が来た。ごっつい人。くるみチヤンは、直ぐに店の中に招いた。その人も躊躇せずに入ってきていた。「あっ いらっしゃい」と、私は笑顔になったんだけど、内心は少し、怖かったのだ。この人。

「あのー ランチョンミートにチーズですか」と、私はお水を持っていって。

「うん うまいからね あのー・・ そう 今日も そのー 寒いね」と

「はぁ そうですね だけど お客様はいつも薄着ですよね」

「もう 慣れてしまったからね 薄着に いつもコレッ」

 そーいえば、いつも、上下ジャージだけで・・前の私みたい。よく見ると大学の刺繍が・・。焼き上がるまで、沈黙が続いた。私は、くるみちゃんのほうを見て 早くーぅー と、思っていたんだけど、気のせいか、ゆっくりやっているようで・・。

「あのー」って言うのが、同時だった。

「あっ どうぞー」って、向こうが先に言った。

「すみません あのー ここの学生さんなんですよね?」

「はい! 3回生です。源一(みなもとはじめ)です みんなは、ゲンイチって呼びます」と、大きな声で・・。

「み・な・も・と ?  うふっ あー ごめんなさい 一瞬 敵 かな って 私 藤原って言うんです だから・・」

「あー そうなんですか そりゃ いいやー 嫌 良くないです」

「? ・ ?  良くないですかー?」

その時、くるみちゃんから、クレープを渡された。それを、持っていきながら

「良くないって?」と、もう一度、聞いてみた。

「いえ 忘れてください。源氏平家なんて 昔の事だから・・ いや そのー 今は、仲良くなれるかなって いや そのー なんだろうな」

 店頭では、くるみちゃんが クックック と笑いをこらえていた。もう、三口ぐらいで食べてしまって

「すみません もう一つ お願いしても良いですか」と、その途端、くるみちゃんは、こらえていたのを我慢できないで、声を出して笑ってしまって

「いいですよ いつもの コース ですよね」と、作り始めていた。

「あのー すみません よければ 店員さんの 下の名前 教えてもらっても・・いいですか」

「あっ はぁー 香波 です 香る 海の波」

「かなみさんかー うん いい 名前だ か・な・み ね」

「あのー ゲンイチさん 運動部なんですか? その すんごい 肩」

「うーん 秋口に首を痛めてね 半年 運動禁止なんだ レスリング だけど もう 就活も始まるし レスリングは終わりだね 情けないよ 今まで 一生懸命やってきたのに肝心な時にな」

「あっ ごめんなさい 私 そのー そんなつもりじゃぁ でも、これからじゃぁないですかー 良い会社に入って頑張れば これからですよー うん ゲンイチさんは 礼
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