暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギアGX〜騎士と学士と伴装者〜
第13節「復活のガングニール」
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「伸ばしたその手も、誰かを傷つける手じゃないってわたしは知ってるッ!……わたしだから知ってるッ!だってわたしは、響と戦って──救われたんだよッ!」
「──ッ!」

わたしと戦って……救われた……。

フロンティア事変で、未来はわたしと戦った事がある。
仕組まれた戦い。お互い望まない衝突だったけど……あの時、未来は──

「わたしだけじゃないッ!響の歌に救われて、響の手で今日に繋がってる人、たくさんいるよッ!だから怖がらないでッ!」
「バイナラァァァッ!」

飛び上がったアルカ・ノイズの解剖器官が、未来のいる三階の床を丸ごと分解する。

足場を失った未来の身体は宙を舞い、真っ逆さまに墜ちていく。

ダメだ!危ない!未来を助けなきゃッ!!私がッ!!

──無我夢中で走り出したその時、私の胸に歌が浮かんだ。

喪失までのカウントダウン。

ここで間に合わなければ、未来を失ってしまう。
加速していく心臓の音に反して、その瞬間、周囲の光景はとてもゆっくりだったように感じた。

「──うわああああああああああッ!!Balwisyall Nescell gungnir troooooooooonッ!!」

「わたしの大好きな響の歌を……みんなのために、唄って……」

全身を、温かい光が包み込んでいく。

そっか……ようやく思い出せたよ……。

初めてシンフォギアを纏った、あの日の気持ち。
わたしがずっと、唄ってきた理由。

言葉は厳しかったけど優しい、奏さんやマリアさんが。そして、普段はとっても優しいのに厳しい言葉を選んだ翔くんが、わたしに教えようとしてくれていたもの。本当に伝えたかった言葉が、ようやく理解出来た。

わたしは──大事な人達を守りたくて、歌っていたんだ。






俺が現場に辿り着いたその瞬間、駆け出した響が唄を取り戻した。

着地と同時に天井が崩れ、屋上に溜まっていた雨水が滝のように流れ落ちる。

雲の切れ間から顔を出した陽光で、キラキラと反射する流水をバックに、未来をお姫様抱っこして立ち上がる響の身体には──撃槍の戦装束(ガングニール)が輝いていた。

「──あ」
「……ごめん。わたし、この力と責任から逃げ出してた……。だけど、もう迷わないッ!だから聴いてッ!」

先程までの迷いを抱えた曇り顔ではなく、迷いを振り切り、決意と自信に満ちた表情で未来を見つめる響。

未来を腕から下ろすと、響は俺の方へと視線を向けた。

「翔くんッ!」
「響……」
「──行こうッ!」
「……ああッ!」

ただ、その言葉だけでいい。それだけで、全てが通じ合った。

謝るのは後だ。今は──共に戦おうッ!!



「ガングニールの復活
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ