暁 〜小説投稿サイト〜
じゃじゃ馬ストレート
1話 名探偵!?
[1/2]

[1] 最後 [2]次話
 扇状のグラウンドを囲んで作られた観客席に居る人々は、グラウンドで白球に思いを乗せて互いに競い合う者達に大きな声援を送っている。私もそんな観客の一人としてここに居た。

 証明に照らされる選手達はまるでスポットライトを浴びているかのように輝いている。日本プロ野球のスター選手が集い一つの白球を介してぶつかり合うオールスター。両親に連れられて来たこの野球場で繰り広げられる試合に私は目を奪われていた。

 そして、試合は最終局面を迎える。マウンドには白黒の縦じまユニフォームを身に纏った選手が上がった。

 マウンドに上がったピッチャーがバッターにジェスチャーを送ると、それを見た内野スタンドの観客達がざわめく。バッターボックスには球界を代表する4番打者。そんな相手に対しオールストレート宣言をしたのだ。

 それからは圧巻の投球だった。ストレートがくると分かっているにも関わらず、対峙した一流の打者達は悉く三振に倒れたのだ。

 そんな投手の姿に私は憧れ焦がれ、いつか自分もあんな投手になりたいと思うようになった。






 四月と言えば新生活。かく言う私も今日から高校生となる新一年生である。

 生まれ育った地を離れて迎える新生活。ちゃんと友達が出来るか期待半分不安半分を胸に抱いて校門を通過した。

 門の向こうでは左右に桜が咲き誇り、その柔らかな香りが私の鼻をくすぐる。そんな春の風物詩が私の心を穏やかにし、何だか上手くいくような気がした。

 教員に誘導され辿り着いた掲示板の前に立ち、自分のクラスを確認する。一組から順番に私の名前を探していると、二つ目のクラスでそれを見付ける事ができた。

 早々に見付かって良かった。後ろのクラスだったらもう暫く掲示板の前で足止めを食らってたかな。

 校舎に入った私はこれから三年間過ごすであろう景色を眺めながら教室へ向かって歩く。所々に先生が立っていて案内してくれたので、迷う事なく教室に辿り着いた。

 教室に入ると、そこには既に多くの生徒がおり、近くの生徒と話す者、一人で本を読む者など、みな思い思いに過ごしている。

 座席を確認すると教卓から見て右側、窓から二列目の後ろから二番目。なかなか悪くない席かな。

 さて、先生が来る前にお花積みに行こっと。

 荷物を机に置いて後ろの扉へ向かって歩きだした。一本後ろの通路で三人が話をしていたので、その手前を通ろうとしたのだが、私の体が机に当たってしまい置いてあったペンケースを落としてしまう。

「あ、ごめんなさいっ」

 私は散らばった筆記用具を広い集めた。

「気にしないで。ごめんね、邪魔だったよね?」

 三人の中で椅子に座っていた長い茶髪の女の子が椅子から降りて、私と一緒に落ちた物を広い始め
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ