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Fate/WizarDragonknight
行き倒れが当たり前にいる町だとは思わなかった
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っていくキュウべえの姿から目を離し、手の甲の令呪に視線を落とす。
 以前キュウべえが言っていた、サーヴァントという令呪については、まだ出てくる気配もない。
 このまま、見滝原での平和はいつまで続くのだろう。
 そんな心配を抱きながら、ハルトはエンジンを入れた。
 そして。

「腹減った〜」

 車道のど真ん中で行き倒れを見つけた。

「……」

 さっきはキュウべえ、次は行き倒れ。早々お目にかかれない珍事の連続に、ハルトは思わずヘルメットを外した。

「……あ、あの……」

 一方通行の車道で昼夜堂々とうつ伏せで倒れているその人物。バックパックを背負い、春先にはまだ暑い長袖とジーンズのその男は、ハルトの気配を察したのか、「腹減った……」という声を上げた。
 ハルトは困りながらも、ポケットから財布を取り出す。ラビットハウスで働いた一週間。少しだけ前金としてもらった金が残っていた。

「……ちょっと待ってて」

 少し考えたハルトは、脇にバイクを止め、近くのコンビニへ駆け込んだ。



「いやあ、悪い悪い」

 行き倒れの青年は、素晴らしい笑顔でハルトが買ってきたおにぎりを頬張る。
 バス停に設置された椅子は、こうして一時休憩するには持って来いだなと感じながら、ハルトは頭を掻く。

「このご時世に行き倒れで道に倒れるってのもそんなに見ないけど」
「いや、フィールドワークでこっちに来たんだけどよ」

 おにぎりを平らげた青年は、ハルトの肩を掴む。

「いやあ、ご馳走さん! おかげで助かったぜ」
「ああ、まあ無事ならよかったよ」

 ハルトは手を振り払う。

「アンタ、いつもあんな風に行き倒れているのか?」
「時々だな。いつもは日銭稼いで何とかしてるぜ」
「おお。随分ワイルドだな」

 その言葉に、青年は白い歯をにっと見せる。

「いやあ、宿無し生活ってのを始めてみたけど、なかなか上手くいかねえもんだな! あ、俺多田(ただ)コウスケってんだ。よろしくな!」
「松菜ハルト。どうもよろしく。あ、それはそうと、俺結構旅してきて、ゼロ円生活とかしてきたけど、よかったらそのコツとか教えようか? また行き倒れるより、食料調達方法知っていた方がいいよ?」
「ああ、そうだな……悪いけど、教えてもらえねえか? ……あ」

 顔を輝かせたコウスケは、ふと何かを思い出したかのように考え込む。

「悪い。その前に、今人と待ち合わせしているところなんだ。そいつが来るまで、口頭で教えてくれねえか?」
「構わないけど……待ち合わせの途中で行き倒れていたの? アンタ、身なりはそんなに悪くないのに」
「はは。フィールドワークって言ったろ? 俺、研究のためにこの見滝原に来たんだ。しばらく離れら
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