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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第11話 魁! 黒銀勇美VS藤原妹紅-不死鳥編-:後編
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せた。
「……うぅ」
 それを聞きながら、勇美は深手を負った体から脳に送られて来る苦痛の信号に苛まれながら呻いた。
 ──確かに降参すべきは今である。今の自分と妹紅は実力の差が大きいのだ。このまま白旗を揚げれば無謀なこの戦いを続ける事なく楽になれる。
(だけど……)
 そうする訳にはいかなかったのだ。
 まず第一に妹紅は輝夜と殺し合いをすると言っていた事である。みすみす惨劇が起こる前触れを見逃す訳にはいかない。
 そして、第二に勇美が依姫の元で鍛錬を積む事、幻想郷やそこに住む人達と触れ合い戯れていく事、これは彼女なりの母親に対する『復讐』だったのである。ここで折れてしまっては『復讐』は完了しないのだ。
 これらの事が要因となって、勇美の心は決まったのだった。

◇ ◇ ◇

 そして勇美は痛みに疼く体に鞭打って、その身をゆっくり起こしたのだ。自分でも無茶をしていると思いながらも。
「へえ、まだ立つのかい?」
 妹紅はそんな勇美に対して感心しながら言った。
「まあ、色々ありますからね。負けられないんですよ」
「ほう……」
 そう振舞う勇美を見ながら、妹紅はどこか懐かしい心持ちとなっていた。──まるで昔の自分を見ているようだと。
 あの頃は無我夢中で父:不比等に恥をかかせた輝夜に復讐する事に必死だったのだ。勇美はその時の自分のように屈折した感情は持ち合わせていないように思えるが、必死さでは通じるものがあるのだ。
「でもどうするんだい? さっきの水の膜は破ったし、私には雨は通じない事は分かっているだろ?」
「そうですよね」
 勇美はそれに同意する。確かに今の自分は不利な状況である。
 だが、奥の手はまだ自分にはあったのだ。──さすがは八百万の神の力を借りているだけの事はあるという訳だろう。
 水の膜は弾き飛ばされる。雨の力では通じない。なら残った手段は。
「『ネプチューン様』、私とマッくんに力を貸して下さい!」
 そう勇美が呼びかけると、彼女の側で波のような水飛沫が巻き起こったのだ。雨という、空から降る水の力が駄目なら、海から攻めてやろうと勇美は思ったのだった。
 そして、水の奔流の中から何かが首を覗かせ始めた。マックスだ。
「これは見事な大蛇だねえ……」
 その姿を目の当たりにした妹紅はただ感心するしかなかった。
 それは水色が金属的な光沢を持つ、彫刻のように美しい3メートル程の機械の大蛇だったのである。
「名付けて『メカ・シーサーペント』だよ♪」
 勇美は今しがた思い浮かんだ名称を口にした。
「ほう。でも名前だけ立派でもしょうがないよ」
「はい、それにはご心配に及びません」
 軽口を叩き合う二人。だが、徐々にペースは再び勇美の方に流れていっていたのだ。
「では行きますよ! 【水圧「ハイドロバ
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