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人理を守れ、エミヤさん!
女難転じて福と成すのが士郎くん!
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「なるほど。それでカウンター・サーヴァントを探しておる訳か」

 俺から聞かされた『人類愛』の現状に、スカサハは難しそうに頷いた。ふむ、と形のいい顎に手を当てて考え込むスカサハだが、その眼は好戦的に沖田と俺を品定めしている。まるで肉食の獣が舌なめずりをしているような印象があるが、ケルトは大体こんな感じがデフォルトなので気にしない。

 影の国の門番、神殺しのスカサハと言えば、ケルト神話でも屈指の頭イッてる系魔女である。一位はメイヴで二位はコンホヴォル辺りではなかろうか。
 クー・フーリンを弟子にして、彼が影の国にいる間のメンヘラ的な行動や、クー・フーリンが修行を終えて去ってからのスカサハの反応は本物のアレである。
 加えてクー・フーリンと宿敵オイフェの間に生まれたコンラを、コンラがクー・フーリンの手で殺されると分かっていて鍛え、アルスターに送り出す真性のアレでもある。しかしそれは、その時点で魂が腐り果てていたが故の所業だったらしい。
 全盛期の体、全盛期の腐っていない魂、全盛期の智慧と技量を兼ね備えた、切望していた死を得て英霊となったスカサハなら、そんなメンヘラ一直線な真似はしないだろう。……しないといいなって思う。

 沖田はスカサハの好戦的な視線にも自然体を保っている。しかし何時仕掛けられても即応できる間合いと姿勢だ。
 斯く言う俺は仕掛けられた瞬間死ねる間合いなので無防備である。沖田がなんとかしてくれるだろと丸投げ状態だ。是非もなし、槍の間合いの俺は無力なのである。

「そうだな。俺としてはあんたが仲間になってくれるなら万々歳だが――生憎とまだまだ戦力は足りないと踏んでいる」
「そうだろう。私もそう思う」

 おや、と眉を動かす。俺の率直な考えに、てっきり何らかの不愉快さを示すと思ったのだが。
 スカサハの戦士としての力量からして、自分が加わるだけでなんとかなる、そう自負していてもおかしくないと思っていた。だがしかし、どうやらスカサハにもクレバーな思考はあるらしい。いや女王ともなれば当然なんだろうが。

「私だけではメイヴの軍や、あの馬鹿弟子には勝てぬよ」
「やけに素直に認めるな……」
「ふ。私を殺せる者は馬鹿弟子ぐらいなもの。それがあのようなザマなのは癪だが、力だけは本物故な。認めるべき点は認めるとも」

 苦笑して肩を竦めるスカサハ。
 かっぽかっぽと歩くアンドロマケは、その艶やかな尾でビシビシと傍らを歩くスカサハを叩いている。
 随分と嫌っている様子だが、スカサハに気を悪くした様子はない。寧ろ面白がっている。随分と賢しい馬ではないかと。彼女は動物の勘か、スカサハに滲んでいる死霊の気配を感じ取っているらしい。
 それはスカサハ自身のものではない。余りにも多くの悪しき妖精、堕ちた神を殺
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