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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
諍い
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ーい、むっつりーvv」
「……………………」
 シーラに冷やかされ、ユウリはなぜか鬼の形相のまま沈黙した。これがナギの場合だと問答無用で呪文を放つのだが、シーラの場合だとどう反応すればいいのかわからないらしい。
 そんなことはお構いなしに、シーラは話を続けた。
「『おしごと』ってぇのは、これよんっっ!!」
 そういってどこからか取り出したのは、一抱えほどもある金貨の入った革袋だった。
「どっ、どうしたのシーラ!!?? その金貨!!」
 どうみたって半日かそこらで稼げるような金額ではない。もちろん裕福ではない私の実家でもあんな大金見たことがない。
「もちろん、モンスター格闘場で稼いだんだよんvv」
「ほ、ホントに?」
 格闘場って、あんな短時間でこんなに稼げるものなの!?
 格闘場・・・・っていうより賭け事自体やったことのない私にとっては、全く理解できない話である。
「こんだけあれば、一か月分はお酒に囲まれて暮らせるもんね♪ あ、ミオちんにもお酒ちょびっとわけてあげるからね☆」
「あ、ありがと……。でも私お酒飲めないからいいよ……」
 するとちょうどタイミングよく、宿の玄関から聞きなれた声が聞こえてきた。
「くっそー!! なんでどこもあんなに高けーんだよ!!」
 どすどすと、荒い足音を立ててこちらに上がってきたのは、私たちが探していた仲間その2、ナギだった。
「おいサル。俺の許可なくこんな遅くまで出歩くとはいい根性してるな」
 まるで子供の門限に厳しい父親のようなことを言うユウリ。
「別にあんたの監視下にあるわけじゃないしいーだろ。それに、ただ出歩いてたんじゃなくて、自分用の武器を買いに行ってたんだよ! ……結局どれも高すぎて買えなかったけどな。誰かさんが一人でお財布握ってるせいでよ!!」
 そう言い放つと、ナギはユウリを鋭く睨み返した。
 そのただならぬ不穏な空気を感じた私は、余計なこととは思いつつも、つい口を挟んでしままう。
「ほ、ほらユウリ。そんなに心配しなくても、やっぱりナギ武器買いに行ってただけじゃん!」
「…………」
「それにこの先の旅のことを考えるなら、新しい武器を買える資金ぐらいナギに渡してあげてもいいんじゃない?」
「…………」
案の定、私が言ったところで状況が変わるわけがなかった。
「……この堅物にんなこと言っても無駄じゃね? あーもう気分悪いから先にメシ食って寝るわ」
 そう言ってナギは、部屋の中に入ろうとした。だが、いまだに床に座り込んでいたシーラにぶつかり、転びそうになってしまった。
「ってぇ!! なんなんだよ、ったく……」
 くるりとシーラのほうを振り返る。どうやらシーラではなく、横に置いてある金貨の皮袋につまづいたらしい。
「お、おま……なんだよ、それ……」

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