暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
戦術の勝、戦略の勝
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、同一の反応を発するものがここにあるということは、他にもこの柱がある可能性が出てきた。
 そしてレフのいた所とは別の特異点に柱があったということは、人類史焼却の暴挙は組織的なものであるということになる。
 冬木でレフが、ローマでコイツが。ならフランスにも柱があったのかもしれない。俺達が遭遇しなかっただけで。そして、これから先の特異点全てにも。

「……ゾッとする話だ。なあおい。お前もレフと同じで、人間が変身した奴なのか?」

 曖昧に、引き攣りそうな顔を誤魔化すように笑い、目の前の柱に問いを投げる。
 その眼が、測るように俺を注視した。

「だとしたらなぜ人類史の焼却なんて馬鹿げたことに荷担する? 愚かに過ぎる、傲慢に過ぎる。人の歴史を途絶えさせようとするばかりか、なかったことにしようとするとは。増上慢も甚だしい、そうは思わないのか?」

 ――その眼に、微かに苛立ちの光が走ったのを俺は見逃さなかった。

 確証はない、しかし確定したと判断する。奴はレフと同じ人間だ。いや今は悪魔かもしれないが、かつて人間であったことは間違いない。
 つまり、人間に通じる駆け引きは、コイツにも通じるということ。それは、光明になり得る。

「……」

 眼光が、鋭くなる。意識が更に俺に向く。
 何か俺の言葉に含むものがあるのか? なんであれ――好機。

 左手に魔力を通す。そして、更に言葉を続けながら念じた。

(令呪起動――)

「神にでもなったつもりか? それとも人を粛清することに大義でも見い出したのかな? いや人の未来に絶望したアトラスの錬金術師の可能性もあるか……」

(システム作動。――のサーヴァント、――を指定)

「だとすると更に度し難い。己の手前勝手な絶望に、人類全てを巻き込もうとするなど餓鬼にも劣る。ああ、流石にそれはないか。人類を滅ぼそうとするほどの悪党が、そんなちっちゃい輩な訳がない。だとすると他に考えられるのは……誰かに唆された道化かな」

 冷淡に語りかけ、嘲笑する。

 何か、柱が反応する寸前。令呪は作動した。



(宝具解放、ノータイムで最大火力を発揮し、敵性体を討滅しろ)



「――卑王鉄槌(ヴォーティガーン)の息吹よこれに」

 瞬間。

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!」

 指令通り一瞬にして臨界にまで達した黒い聖剣が、黒い極光を迸らせる。
 横合いから殴り付ける究極斬撃。反応は間に合わず直撃した。

『容赦ないな!?』

 ロマニの突っ込みに肩を竦める。
 これで決まればいいが――

 まあ、そこまで甘くないか。

 俺は苦笑する。


 柱は吹き飛んだ。しかし、俺の眼は確かにそれを見た。
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