暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
第一章「邪竜秒殺戦争オルレアン」
急げ士郎くん!
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ばならないと思う。
 ロマニは息を整えて、なんとか言った。

「カルデアスは既に、第一特異点に座標を固定してある。レイシフトの準備も終わっていて、今更レイシフト先を変更することはできない。下手をすると第一特異点を見失いかねないからだ」

 道理である。予定を土壇場で変更して、急遽別の任務を挟んでもいいことなど何もない。レイシフトを予定通りに行なうというロマニの判断は正しい。
 だが、正しいからとそれで事態が丸く収まるわけではない。

「無茶を承知で頼む。士郎くん、これから赴く特異点の人理定礎を、早急に修復してくれ。一刻の猶予もないんだ、なるべく、なんて曖昧なことは言えない。比喩抜きで、一秒でも早く(・・・・・・)、戻ってきてくれ」

 タイムリミットは。
 聞くと、ロマニは固い唾を呑み込んだ。
 自分がどれほどの無茶を言わんとしているのか、その重圧に喘ぐようにして囁いた。

「――次の特異点が、致命的に修復不可能なところにいくまでに要する時間は、おそらく十日だ」

 管制室のカルデア職員達が、固唾を飲んでこちらを見る。
 凄まじい重圧に、しかし負けず。跳ね返す鋼のような声で、カルデアのマスターは応答した。

「――了解。四日(・・)以内に戻る。それまでに次のレイシフトの準備をしておけ」

 士郎くん、と呼ぶ声。

「病み上がりなのに、すまない。でも、それでも僕らは君に頼らないといけない。お願いだ、どうか無事に戻ってきてくれ……!」

 ロマニ、と苦笑した声。

「俺を誰だと思っている。任せろ、必ず上手くいかせてみせるさ」

 ――アンサモンプログラム スタート
 ――霊子変換を開始 します
 ――レイシフトまで後 3、2、1……
 ――全工程 完了(クリア)  ――グランドオーダー 実証を 開始 します









「さて……」

 今度はコフィンを使用して、正規の手順でレイシフトしたためか、特に問題なく意識は覚醒した。
 傍らを見ると、マシュとアルトリアがいる。召喚予定だったクー・フーリンは、召喚のための準備が間に合わなかった。
 まあ、それはいい。瞬間的に気配を消し、姿を隠したアサシンも、こちらの声が届く所にいるだろう。
 辺りを見渡すと、どうやらここは、どこかの森の中らしい。木々が生い茂り、のどかな空気を醸していた。

 マシュが、緊張に強張った声で言う。

「……時代を特定しました。1431年です、先輩」
「中世か。しかもその時代となると、」
「百年戦争が事実上終結しジャンヌ・ダルクが火刑に処された年でもあります。……それよりもシロウ、気づきましたか」

 アルトリアが補足するように言い、促してくる。俺はそれに頷いて、空を見上げた
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ