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人理を守れ、エミヤさん!
約束された修羅場の士郎くん! 2
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 流石に、英雄としての格が違う。槍がないからと侮るのはやはり危険だった。

「んなもんで、バーサーカー以外で、残ったのはお前さんだけだ。厄介なアーチャーもいねえ、心強い共闘相手がいる、俺としちゃここまでの好機を逃す理由がないわな」
「……消えかけの身で、私とシロウの間に割って入る愚を犯すとは、よほど命が要らないらしい。いいだろう、相手にとって不足はない。私に挑む蛮勇、後悔させてやる」

 ぴり、と空気に電撃が走る。キャスターとセイバーは互いに身構えていた。
 士郎はそんな両者を見比べ、己の状態を省みる。
 ……些か無理が過ぎたのか魔術回路が限界に近い。魔力は底が見え始め、体にガタが出ている。
 マシュだって気丈に振る舞っているが、戦いの経験がなかった精神は限界だろう。その上でキャスターは消えかけときた。
 対し、セイバーは時を置くごとに回復していく。折れていた左腕以外、既に元通りという有り様だ。時間はセイバーの味方、長期戦はこちらに不利。……であれば不利の要因を一つでも解消しなければならない。

 士郎はキャスターに素早く駆け寄り、その肩に手を置いた。

「キャスター。パスを繋ぐ、受け入れてくれ」
「あ? いいのかよ、魔力はそこの嬢ちゃんに供給するだけで精一杯じゃねえのか?
「いや、供給源は俺じゃない。カルデアという、俺のバックにある組織のシステムから流れてくる。俺の負担になることはないし、これも一時限りの仮契約だ。不服はないはずだが、どうだ?」
「いいぜ、お前さんなら文句はねえ。仮とはいえマスターとして認めてやる。繋げよ」
「ああ」

 肩に触れている手から、霊的な繋がりをキャスターに結ぶ。
 すると、キャスターは異なる次元から流れてくる魔力を確かに感じた。へえ、こりゃいい、と感嘆する。
 予想以上に潤沢な魔力――のような何かだ。不足はない。現世への楔となる依り代、マスターの器にも不満はなかった。マスター運も上向いてきたらしい、と好戦的に笑う余裕も出てきた。

 それに、士郎は誰かに見せつけるように笑い、言った。

「……俺のサーヴァント(・・・・・・・・)はこれで二人になったわけだが、まさか卑怯とは言わないよな、セイバー?」
「……」

 ぴくり、と騎士王の肩が揺れる。
 そしてやおらキャスターを睨み付けると、静かに言った。

「……シロウに盾のサーヴァント、そこにキャスターが加わるとなれば、流石の私も分が悪い。敗色濃厚なのは認めざるを得ないでしょう」
「へえ、負け腰じゃねえか聖剣使い。そんなんで俺らの相手が務まるのかい?」
「さあどうだろうな。しかしなんにしても言えるのは一つだ。……盾の娘は、特別によしとしてもいい。だが貴公は赦さないぞ、光の御子。刺し違えてでも貴公だけは討つ」

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