暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
約束された修羅場の士郎くん!
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
宝具を投射する。
 魔力の充填は不十分。本来の威力は期待できない。だがそれがどうした。セイバーがこの特異点で、アーチャーと交戦し下しているのは既知のこと。あの男の固有結界から引き出した魔剣を、セイバーが見知っていても不思議ではない。
 故に赤原猟犬(フルンディング)を餌とした。セイバーなら、迷わず魔剣とマシュを同時に破壊するために聖剣を解放すると分かっていた。
 その上で確実に隙を作れる。故のフルンディング、魔力が充填されておらずとも一定の効果が見込めるカラドボルグなのだ。

 音速で奔る偽・螺旋剣を、しかし騎士王には直撃させない。この投影宝具は張りぼて、聖剣の一振りで砕かれる程度の代物。聖剣がぎりぎりで届かない程度の間合いを通過し、周囲の空間ごと削る虹の魔力で騎士王を絡めとるのが関の山。

 だがそれでいい。

「はぁぁあ――ッ!!」

 聖剣を防いだ体勢のまま……疑似展開された宝具を構えたままマシュが光を纏ってセイバーに突進した。
 巨大な壁となってぶつかってくるマシュを、黒い騎士王は跳ね除けることが出来なかった。有り余る魔力で押し返そうにも、疑似とはいえ展開された盾の宝具をどうこうできるものでなく、聖剣の真名解放をしようにも偽・螺旋剣の空間切削に体を巻き取られて体勢を崩しているため不可能。果たしてマシュの突撃をまともに食らったセイバーは、切り揉みしながら吹き飛んだ。
 フルンディングとカラドボルグ、前者が先に破壊されたパターンの時、どうすればいいかあらかじめ指示を出していたとはいえ、よく合わせたとマシュを誉めてやりたかったが、まだ仕事は終わっていない。
 宝具を展開したままという、体にかなりの負担を強いる戦法を取らせたが、その程度の無理もせずして騎士王に有効な攻撃を当てるのは無理な話だ。

 俺は吹き飛んだ騎士王に向け、一瞬の躊躇いもなく、淡々と無銘の剣弾を叩き込む。予測通り騎士王の反応は遅れ、無銘の剣弾は騎士王の眉間に吸い込まれていった――








「やった!」

 マシュが快哉を叫ぶ。
 はじめ、マスターである士郎から、セイバーの真名を聞かされた時は不安にもなったが、士郎の言う通りに動いただけで面白いように上手くことが運んだ。
 さすが先輩と両手を広げ、体全体を使い賞賛の意を表現する。そこに、宝具を酷使して疲弊させられたことに対する不満はない。マシュの中には、やるべきことをやれたという誇らしさがあるだけだ。

 トドメとなる剣弾を、士郎が放った。

 それは狙い過たず騎士王の眉間に吸い込まれていった。
 直撃したように見えて、マシュは勝ったのだと思い士郎の方へ駆け寄ろうとしたが……何故か、士郎は顔色を険しくし、無言で次々と騎士王へ剣弾を撃ち込み続ける。
 塵すら残さぬと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ