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人理を守れ、エミヤさん!
突撃、隣の士郎くん!
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アイツ(・・・)……下手打ちやがったな……!」

 ――いや、むざむざ聖杯の泥に呑まれるようなタマじゃない。あれは抜け目のない男だった、恐らく泥にのまれたのは何者かに倒された後だろう。

 しかしあの姿を見て、推測が確信に変わったことがいくつかある。

 一つ、やはり聖杯は汚染された、俺の知るもの。
 二つ、いずれかのサーヴァントが聖杯を握り、他のサーヴァントを撃破して泥に取り込み、自身の手駒として利用していること。
 三つ、恐らくほぼ全てのサーヴァントは脱落済み。ここまで来て迎撃に出てきたのがアーチャーだけということは、他のサーヴァントは生き延びたサーヴァントを追っているものと思われる。
 すなわち、詰みに入っているがゆえの防備の薄さ、ということだ。

 であれば――、

「……!」

 思いを込めて、アサシンを見る。一瞬だけ、目が合った。
 戦術における思考は、俺とアサシンは似ていた。俺の戦闘能力も、パターンもここに来るまでで把握してあるはず。
 あとは、俺がこの局面で何を考えるか、察してもらえることを期待するしかない。
 アーチャーがあの赤い外套の男なら、口の動き、目の動きだけでこちらの動きを察知しかねなかった。気配を溶かしていたアサシンは――黙って頷き、円蔵山の洞窟に先行していく。

 見送るようなことはせず、俺は黒弓を投影した。宝具ではないが、名剣をつがえるなりすぐに射つ。

「……っ、」

 放ったのは十三。対し、遠方の高台に陣取ったアイツは二十七もの剣弾を放っていた。
 俺の剣弾は全て撃墜され、残った十四の剣弾が飛来してきたのを干将・莫耶でなんとかはたき落とす。
 ……思い上がっていた。弓の腕は互角のつもりでいたが、そんなことはない。奴の方が俺よりも上手だ!
 今のでよくわかった、霊基という壁がある限り俺が奴に比肩するのは極めて困難だ。単純に技量が違うし経験量も段違い、それをすぐに認める。この分では接近戦は避けた方がいい。そう判断する。

「って、おい! 殺意が高過ぎやしないか……!?」

 俺は、奴が次に弓につがえた剣を見て、思わず叫んでいた。

 捩れた刀身、空間を捩り切る対軍宝具。躊躇なし、手加減なしの全力全開。極限まで魔力を充填しているのか、魔力が赤く、禍々しく迸っている。
 俺は焦って、叫んだ。俺を見て、驚愕に目を見開いていた男は、相手が異邦の存在だと見抜き、そしてそれが衛宮士郎だと察して嗤ったのだ。
 手は抜かない、確実に殺す。そう、奴の目が語っていた。

 偽・螺旋剣(カラドボルグU)

 俺はそれを視認し、威力を推定して――悟る。防げない。俺には盾の宝具の持ち合わせなどなかった。
 故に俺はマシュに指示した。四の五の言ってる場合では
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