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人理を守れ、エミヤさん!
帰郷しちゃった士郎くん!
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ないが、行動に支障はない。ひとまずは問題ないはずだ。それよりマシュはどうだ? 見たところ怪我は治っているようだが」
「はい。デミ・サーヴァント化したためか、わたしに異変は見られません。むしろ、すこぶる調子が良いです」
「それは重畳だが……もしカルデアが無事なら、ロマニにメディカル・チェックして貰わないとな」
「そうですね。先輩も、きちんとした治療を受けないといけません。そのために、」
「ああ。なんとかカルデアと連絡をとらないとな」

 地獄のような赤景色。花の代わりに咲くのは炎。大気に満ちる汚染された呪いの風。
 最悪の景色は、しかし見慣れている。冬木で、海外を回る中で見つけた死都で、もう見飽きてしまった。
 カルデアは無事なのか。――無事だと信じる。少なくとも、ロマニだけは俺を信頼してくれていた。俺の言葉を蔑ろにはしていないはずで、あの万能の天才ダヴィンチにもテロへの警戒は促していた。カルデアを爆破した犯人が誰かは知らないが、犯人が警戒意識を持っているダヴィンチを出し抜ける可能性は低いはずだ。
 少なくとも、最悪の事態にはなっていない確証はある。レイシフトした俺とマシュが無事な時点で、カルデアは壊滅していない。施設や観測スタッフがいなくなってしまえば、俺とマシュは意味消失しとっくに消え去ってしまっているだろう。

 両目に強化の魔術を叩き込み、見晴らしの悪い周囲を見渡す。こんな混迷とした状況だ、まず第一に身の安全を確保しないといけない。

 すると、北の方角から骸骨――竜牙兵が群れとなってこちらを目指しているのを見つけた。
 数は十。斧や剣、槍などで武装した蜥蜴頭と二足歩行の獣戦士の姿もある。こちらは合わせて五体。
 マシュも気づいた。デミ・サーヴァント化しているせいか、気配探知能力も高まっているらしい。こちらに警戒を促し俺の前に出ようとするより先に、俺は詠唱していた。

投影開始(トレース・オン)

 手には黒い洋弓。狙撃の経験を積むにつれ、自身に最適なモデルを一から作成した、宝具の射出にも耐える渾身の一作。投影するのに一呼吸もかからない。夫婦剣・干将莫耶と同じぐらい使い込んだもの。

 矢継ぎ早に矢をつがえ、十五本打ち放つ。

 狙ってはいない。だが当たる(・・・)。その確信は、十五体の敵性体が全て沈黙したことで証明された。
 目を白黒させてこちらを見るマシュに、微笑みかける。

「どうだ。俺もやるものだろう」
「確かにすごいです。……でも、先輩は怪我人なんですから、無茶だけはしないでください。戦闘はわたしが請け負います」
「ああ、頼りにさせてもらう。だが俺も、守られるだけの男じゃない。――女の子の背中に隠れてなにもしない男など、死んでしまえば良い。俺はそう思う。せめて援護ぐらいはするから
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