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人理を守れ、エミヤさん!
普通に死にかける士郎くん!
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れば、ことが終わっても俺を売り、封印指定にまで持っていくこともあるまい。それまでは適当に力を抜いておくに限る。

「フォウ!」
「ん?」

 ふと、毛玉のような獣が道角から飛び出してきて、俺の肩に飛び乗って頭にすがり付いてきた。咄嗟に叩き落としかけたが、害意はないようだし放っておく。

「なんだ、ご機嫌だな。なにか良いことでもあったのか?」

 苦笑しながら腕を伸ばすと、意図を察したらしい毛玉の小動物――猫? ウサギ? みたいな何か――は頭から伸ばされた腕に移り、そのくりくりとした目で俺を見上げてきた。
 賢い奴だ、と思う。かいぐりかいぐりと頭や顎下を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細めていた。
 どうやらなつかれたらしい。俺は昔から、どうにも動物の類いに好まれる傾向にあるが、初見の奴にまでこうも踏み込まれるとは思わなかった。

 戦闘シミュレーションを終えて、特にすることもなかった俺は、とりあえずこれの相手をして暇でも潰そうか、と思った。

「なんだったら菓子でも作ってやろうか。お前みたいなのでも食えそうなのも、俺のレパートリーにはあるんだ」
「フォウ! フォウ!」

 まるでこちらの言葉が分かっているかのような反応に、怪訝な気持ちになるが、まあ可愛いしいいか、と思っておく。大方、どこぞの魔術師が実験体にして、思考レベルを本来のものより強化しているのだろう。
 ざっと解析したところ、特に脅威になりそうな反応もない。危険はないと見て良いはずだ。――危険が多きすぎて逆に危険じゃないとも言う。

「フォウさん? どこに行ったんですか、フォウさーん!」

 ふと聞き知った声が聞こえてきた。そちらを見ると、白衣を纏った銀髪の少女――眼鏡がチャーミングなマシュ・キリエライトが歩いてきていた。

「……あ、エミヤ先輩」
「やあマシュ」

 こちらに気づいたらしい少女に、俺は半ば無意識に甘く微笑んでいた。女好きを自認する俺であるが、どうにも美女、美少女を見ると物腰が柔和なものになってしまう。
 ちょっと露骨過ぎやしないか、と自分でも思うが、なぜか改めることの出来ないエミヤの呪いである。まあマシュも満更ではなさそうなのでよしとしておこう。眼鏡っ娘の後輩属性とは、なかなかに得難いものである。なぜ先輩呼びなのかは謎だが。

「おはようございます、エミヤ先輩。今こっちに毛むくじゃらなフォウさんが来ませんでしたか?」
「ああ、おはようマシュ。そのフォウさんというのは彼のことかな。――ほら」

 言いつつ、いつのまにか俺の背後に回っていた猫っぽいウサギ、ウサギっぽい猫の首を摘まみあげて、マシュの方へ差し出した。
 フォウを受けとると、マシュは目を丸くして驚いていた。

「……驚きました」
「ん? 何に驚いた
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