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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第十三話 この世には知らない方が幸せな事も有る
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ミュラー提督の言葉に皆が頷いた。艦隊はバラバラだ。装甲擲弾兵を載せた揚陸船もかなり前に出ている。明らかにアルテミスの首飾りを早期に攻略出来ると考えている。

「まだ随分と距離が有る。これから変えるのではないか」
頷きかけた時だった。
「いや、違うようだぞ、ミッターマイヤー。あれは何だ?」
ロイエンタール提督がスクリーンの端の方を指した。その先には……、あれは……。
「氷? いやドライアイスか?」
ミッターマイヤー提督が困惑したように呟いた。俺にもそのように見える。大きな氷、或いはドライアイスの塊だ。如何するのだ、あれを。

「大きいな、どのくらいかな?」
「さあ、一立方キロメートルは有るんじゃないのか」
「一立方キロメートル? ……だとすれば質量は十億トンに近いぞ」
メックリンガー提督、クレメンツ提督の会話に皆が顔を見合わせた。まさか、あれを……。

「動き出したぞ」
確かに動き出した。ケンプ提督の言う通りだ。しかし艦隊は動かない。動き出したのは氷の塊だけだった。徐々に氷の塊の速度が上がる。
「十二個有る、あれをぶつけるのか?」
俺の言葉に皆が顔を見合わせた。

「あれがぶつかったら首飾りは……」
ルッツ提督が声を途切らせた。何処か不安そうな口調だ。
「首飾りが攻撃を始めたな」
クレメンツ提督の言葉に誰も反応しない。ただ黙ってスクリーンを見ている。レーザー砲が氷の塊を襲う。効かない! 水蒸気らしきものが上がった。首飾りからの攻撃は水蒸気を上げるだけで何の効果も無い……。氷はさらにスピードを上げていく……。

ぶつかった! 氷は砕けた、衛星も破壊された。二つとも破片となり美しくきらめいている。まるで美しい宝石の様だ。
「ぶつかったな」
「ああ、壊れた」
ケンプ提督、ファーレンハイト提督が何処か気の抜けた様な口調でアルテミスの首飾りが破壊された事を言った。これは現実なのか?

「艦隊が動き出したな」
「地上制圧部隊と大気圏外で封鎖する部隊に分かれるようだ。地上制圧部隊は揚陸船の護衛部隊と制圧部隊に分かれるのだろう」
「なるほど、雑多な艦隊で十分というわけだ。アルテミスの首飾りを攻撃するわけでは無いか……」
「ロイエンタール、俺はあれは難攻不落だと聞いていたんだが……」
「俺もそう聞いていた。過大評価だったようだな」
ロイエンタール提督とミッターマイヤー提督の会話を皆が複雑そうな表情で聞いている。

「軍務尚書閣下が正規艦隊の派遣を拒否したのはこの作戦が有ったからだろう。反乱は簡単に鎮圧出来るという確信が有ったのだ」
メックリンガー提督の言葉に皆が頷いた。
「となると気になるのは誰がこの作戦を考えたかだな」
ケスラー提督の言葉に皆が顔を見合わせた。皆が困った様な顔をしている。心当たり
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