暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第12話 些細な衝突
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
することでカムフラージュしているという方法。そうやって、自分たちの居場所を自分たちで守ってきたという事実を知り、フローラは2人の用心深さを見た。


 気が付くといつの間にか、視界の先には見慣れた学び舎が見えて来た。まだまだ早い時間のため、敷地内に生徒はちらほらとしか見えない。トラブルの発生すらもなさそうに思えるほど閑散さを保ったその中で、3人は生徒玄関へと歩みを進める。

 と、そこで聞き覚えのある声が聞こえて来た。

「みんなおっはよー」

 3人が顔をそちらに向けると、そこにはニコニコ笑顔でトレードマークのポニーテールを揺らして、こちらへと駆け寄ってきたセ
レシアの姿があった。本来はあり得ない方向から見せた姿に、エースは首を傾げる。

「……なんでそっちから?」

「あー……えーとね。ちょっと実家帰りしてたの。実家の方で色々あったから」

 エースのはっきりとした疑問に対して、どこかはぐらかすような答え方のセレシア。一見すると怪しさしかないが、それはきっと言いたくなかったものを言わせてしまったのだろう、とエースは判断して自分の中に落とし込む。

「もしかして……マズイこと聞いたっぽい?」

「え? 全然いいよ。別に怒ってないし、軽い寝不足なだけだから。あー、眠い……」

 そう言ってあくびをするところを見るに、セレシアの言葉は偽りや配慮ではなく事実を述べただけなのだと、エースにはなんとなく分かった。ついでに、周囲の視線を浴びそうな大あくびを1つ、隠すことなくしてしまう。

「……エース、せめて隠してよ」

「ん? ああ、悪い。ついつられて」

 ミストの指摘に反応を返した後にエースはもう一度大きなあくびを、今度はきちんと隠してする。エース自身は全く寝不足とは思っていないのにも関わらずこうなるのは、本当は足りていないのか。

 そんなことを考えながら、エースはあくびによる涙のたまった目をこすって払う。

「にしても……3人揃ってとは珍しいね。何かあったの?」

「プラントリナさん、それは『昨晩はお楽しみでしたね』ってやつを期待してるのかな?」

「え、ちょ、ちょっとスプラヴィーンくん? 何言ってるの!? セレシアも、誤解しないでね? たまたまだから!」

 セレシアが何気なく言い放った言葉と、それをミストがやや補足して言った言葉のどちらもに対して慌てるフローラ。恥ずかしさからなのか、頬は紅に染まっていく。

「えーと……スプラヴィーンくん。あたし、そういう意味で言ったんじゃないし、もしそうだったらあたしフローラのために怒り狂う自信あるんだけど」

 全く意図せずして爆弾を投下してしまったセレシアも、ミストの補足には少し戸惑い気味だった。

「まぁ、何もなかったんならそ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ