暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
48話:帝都での日々
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
宇宙歴777年 帝国歴468年 8月下旬
首都星オーディン リューデリッツ邸
ゾフィー・フォン・リューデリッツ

「では始めよう。皆の健康を願って。」

夫が晩餐の開始を告げながらグラスを少し掲げる。テーブルを囲む面々が、前菜に舌鼓を打つ。当家の料理は、他家と比べても美食の要素が強い。士官学校へ優秀な成績で入学したパウル君も、幼年学校をあと数年で卒業するワルター君も、やはり幼年学校へ優秀な成績で入学したオスカー君も、年相応に笑顔を見せている。親代わりという意識と、彼らを特に可愛がっていた義祖母様がお亡くなりになられてた事がきっかけで、名前で呼ぶようになった。
夫を中心に私が左隣、右隣りはまだ晩餐に参加するには少し幼い、当家の嫡男アルブレヒトがちょこんと座り、子供用の食器で幼いなりにマナーを守りながら食事をしている。それを優しげな眼差しで見る夫。私の左隣には長女のフリーダが、こちらも幼児ながらマナーを守って楽し気に食事をしている。まだ3歳の次男は、子供部屋で夢の中だ。夫が前線から戻って数ヵ月。やっと落ち着いたという所だろう。

夫がイゼルローン要塞司令官の任にあった3年の間に、我が家は色々と事が多かった。いちばん大きかったのは、義祖母がお亡くなりになられたことだろう。私はRC社の事業に携わってもいたので、子供の多い当家で、母親代わりに子供たちに愛情を注いでくれたのが義祖母だ。屋敷は悲しみに包まれたが、夫は最前線のイゼルローン要塞から身内の不幸を理由に一時帰宅するわけにもいかず、先代ルントシュテット伯や、ご兄弟の奥方たちにもご協力いただきながら、葬儀を手配した。
とはいえ慶事もあった。士官学校と幼年学校への入学が続いたが、みな上位合格者として入学したのだ。義祖母様の御霊前に良い報告をしたいという思いと、前線で大功を上げた夫に、少しでも胸を張って再会したいという思いもあったのだと思う。

「アルブレヒトもフリーダも幼いなりにさまになっているね。ゾフィー感謝しているよ。それともみなで色々教えている成果でもあるかな?」

夫が笑顔を浮かべながら、言葉を発する。前線から戻った直後はなにか思い悩むことがあるのか、笑顔になってもどこか無理をしている雰囲気があった。そういう事は子供の方が感じやすい。帰国直後は皆少し戸惑っていたように思う。

「私の功績にしたいところですが、皆色々と世話をしてくれています。お聞き及びでしょうが士官学校と幼年学校でも励んでくれているので、私も安心しております。」

「留守の間に色々と気を使ってもらい感謝している。RC社の件といい、会食の件といい、本来なら私が力になるべきところなのだが、改めて感謝しているよ。」

夫がひとり一人に視線を向けながら感謝を伝える。皆嬉しそうだ。無理している雰囲気もやっと薄まってき
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ