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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
31話:任官
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「同じくベッカー少尉であります。よろしくお願いします。」

「高等弁務官を拝命しておるレムシャイド伯爵だ。話は聞いている。フェザーン自治領では特に問題は起こっていない。自治領とは言え帝国人はここではよそ者だ。それを踏まえた行動を切に願う。詳しくは駐在武官長のクラ−ゼン准将に確認するように。以上だ。」

挨拶は型通りに済ませて、部屋を後にする。レムシャイド伯爵家は代々政府高官を輩出してきた家柄だ。当代のレムシャイド伯は50歳を少し超えたぐらいだろうか。もう少ししたら領地経営の為に勇退して、帝都で役人をしている息子が後任になるのだろう。そのまま駐在武官長室に移動する。ここでも同じようなやりとりをして、早々と高等弁務官府を後にする。次に来るのは任期が終わるときの挨拶になるだろう。誰だって自分の庭を新参者が大きな顔でうろついていたら気分を害するものだ。俺の任務は公式には『次世代戦闘艦のより効率的な生産の為の情報収集』という事になっている。高等弁務官府にデスクが無くても済む任務なのだから自由にやらせてもらおう。

地上車に乗り込み、次の目的地に向かう。明日以降でも良かったが、こっちの挨拶はなるべく早く済ませたほうがいいと判断して地上車で数分の所にあるフェザーン自治領主公邸へ向かう。一応帝国に臣従している形とは言え、門閥貴族以上に資本を持つ存在だからね。機嫌を損ねてRC社にへんなちょっかいを出されても困るから面会を打診済みという訳だ。

自治領主公邸につくと既に出向かえが来ていた。おそらく帝国高等弁務官府を見張ってでもいるのだろう。

「お待ちしておりました。先導を担当いたします、補佐官のワレンコフと申します。ご高名はかねがね伺っておりました。一度お会いしたいと思っておりましたので、若輩者ですがこのお役目に志願いたしました。ご無礼があればご容赦ください。」

「丁寧な挨拶痛み入ります。ビジネスの本場の方にそのように言っていただくのはいささか気恥ずかしい所です。ルントシュテット伯が3男、ザイトリッツと申します。ワレンコフ殿もお若いながら補佐官に任じられているという事はかなりお出来になるのでしょう。色々とご教授いただければ幸いです。」

俺がそういうと、ワレンコフは少し驚いた表情をしたが、すぐに表情を改めて先導を始めた。自治領の統治の仕組みは暗記はしていないが、補佐官職は言ってみれば未来の自治領主候補の養成の場に近いはずだ。よしみを通じておいて損は無いだろう。

先導してくれたワレンコフ補佐官が一際豪奢なドアを開くと、自治領主とおぼしき年配の男性が目に入った。こういう時は年少者から挨拶したほうが良いだろう。

「お初にお目にかかります、自治領主閣下。高等弁務官府駐在武官として赴任いたしましたルントシュテット伯が3男、ザイトリッツと申します
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