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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
第二章 王子三人
第二十一話 小恋旋律
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文で私の無事を知らせようとしたのだ」

「そ、そうだったのか!済まぬ、疑ったりして!」

私の声音に何かを感じ取ってくれたのだろうか。素直に詫びてくれた。ここまで素直だというのも新鮮だな。どうにも高貴な方とか大人の人は素直に自分の非を認めてくれないものだから。

「バルカシオン伯爵とやらを暗殺した者なら俺とナルサスとで倒したぞ?蛇王ザッハークの下僕を自称していた魔道士だった」

「?蛇王ザッハーク?何なのだ、それは?」

「何百年か前までこの国を支配してた魔王みたいなものさー。両肩にニョロニョロと蛇が生えてて、その蛇が人間の脳みそをムシャムシャ食べるのが好きだったんだってさー」

ああ、確かにパルス人以外にはあまり知られていないのかも。とはいっても今説明してくれたのは、シンドゥラ人のラクシュ殿だが。そう言えばラジェンドラ殿もよくご存知だったな。

「そのザッハークを復活させるにはもっとたくさんの血が流れる必要がある。それを妨げるような良識派の存在は邪魔だと言っていたな」

「馬鹿な!伯爵はただ単に図書館長だったからその立場上ああ言っただけの事だ!流血を止めるとか止めないとかそんな立場の人ではない!」

「…となると何だ?伯爵とやらは見込み違いで殺されたと?」

「そうなるな、ギーヴ殿。多分、あの場であのように口論するよう仕向けたのは王弟ギスカール公だろうが、そのせいで巻き込まれてしまったとも言える」

「いいや、ギスカール公を責めるのは筋違いというものだ。全てそのザッハークの下僕とやらが…、おい、そのザッハークの下僕とやらはそいつだけか?それともまだあと何人もいたりするのか?」

いや、さすがに私たちはそこまでは…。

「居るよー?今回倒したのはビードだっけ?だとすると、指導者の尊師とかいう人を含めて後七人だねー」

「!ラクシュ殿、どうしてそれを!」

本当に、どうしてそこまで知ってるのだろう?

「ラジェンドラ殿下がグルガーンさんに頼んでザッハーク一味に潜入してもらって、情報も送ってもらってるのさー。尤も不審がられないようにだから、連絡頻度はそんなに高くないんだけどねー」

グルガーンというと、フゼスターン地方のミスラ寺院で会ったファランギースの恋人の兄弟だという人か。そう言えばその人は置き手紙を残して急にいなくなったそうだったけど、そんな事情があったのか。

「そうか、ならば、ザッハークの一味とやらは私にとっても恩人の仇、憎むべき敵だ。お主らがルシタニアと戦うなら全く協力は出来ないが、相手がザッハーク一味なら別だ。頼む、私も戦うゆえ、一緒に行動させてくれ!」

「そーだねー。それがいいよー。ザッハーク一味が流血を加速しようとするならそれを阻止せんとする私たちの前に必ず現れるはず
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