第一章「災難の始まり」
[2/4]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とをボケッと考えてる場合じゃなかった。
「ダディ、早くリツさんを!」
「あぁ、そうだった。」
気の抜けるような声で父は答えると、二人で煙漂う研究室へ入ろうとした。
「先生、入っちゃダメですぅ!」
その時、中から何とも危機感のない声で、リツさんが僕達が入るのを止めた。
「リツさん、中で何かあったの!?」
「それなんですがぁ、あ…!」
研究室の奥から、何やらワラワラと声がする…。
「な、なんだ…?」
父もさすがにビビってるようで、恐る恐る中へと入って換気扇のスイッチを入れた。
換気扇は見る間に漂う煙を外へと追い出し、段々と視界を鮮明にしていったが、そこにあった光景があまりにも想定外だったため、僕と父は顎を外しかけた。
「なんじゃこりゃっ!!」
そこには…<僕>が山のように存在していた。ってか、居やがった!
「おい、ダディッ!テメェ何研究してたんだ!?」
「だからぁ、我が三頭身の息子のために友達でも…」
「って、これ僕じゃないですかぁ〜!何かまだ奥の機械からニョキニョキ出て来てるんですけどっ!?」
これは量産型ですね!一家に一台コバピーを!!って、いらねぇよっ!!
「あ、変なのがいるぞ!」
「ほんとだ。三頭身なんておっかしぃ!」
何か面白い玩具でも見つけた子供のように、僕のコピー達が一斉に喋り始めた。研究室は彼らの声で充満して、耳がキンキンと痛くなった。
僕と父はあまりの五月蝿さに、この声の中から出ようとした時だった。
「あ、変なのが逃げるぞ!」
「逃がすな!」
コバピー擬き達は目を光らせ、出ようとする僕達へと迫ってきた!
「逃げるぞ、ダディ!」
「アイアイサ!って、あ…。」
-カプッ!-
走り寄ってきたコバピー擬きに、父が手に噛みつかれてしまいました…。
「ダディ!」
噛まれた父はその瞬間、他の擬き達と同じ様に三頭身になり、姿まで僕そっくりに…。
「嫌ぁぁぁぁ〜ッ!!」
気持ち悪…。これはかなりの確率で気分を害する現象だ!
「ってか、自分の姿なのに気色悪いなんて!」
僕は仕方なく、直ぐ様研究室の扉を閉めて非常用ロックを掛けた。
中ではコバピー擬きが暴れているようで、ドタバタと大きな音が響いている。
-ドンドンッ!-
中から出せと叩いているが、この扉はそう簡単には開きません。
「はぁ〜……。なんでこんな目に…。」
その時、玄関のチャイムが鳴らされた。
「全くこんな時に…!よし、居ないふりっと…。」
それでもチャイムは鳴り止むことなく続いている。そして…
-ドカッ!!-
「うひょ〜!玄関のドアが!」
ぶち壊された…。そしてそこから悠然と出現したのは…。
「けぃ様が登場してやったゼ!」
「やったゼじゃねぇよっ!」
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ