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嗤うせぇるすガキども
今日も空は青かった(前編)
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 人間の場合は、犯罪になることだけがちがう。

 こうして自然は、そこにいる生き物を競争させて、使えない者を淘汰している……。
 そして僕は、使えない方らしい。だったら欲望なんかなくしてほしかった。



 そうして僕は、不本意な現状とやらを変えようと戦うこともせず、エロマンガ本と深夜アニメを友として無為に日を送って、無理せず入れる高校に進んだ。
 女たちはますます露骨に、上位カーストをゲットするために必死の努力をしている。
 鏡と相談した方がいいんじゃ? というレベルのまで「彼氏がほしい」と叫んでいる。
 むろん「物体A」が男になんか見えていないのは同じ。
 僕は僕で、立場が逆なら同じことをするんだろうなと思うくらいには大人になれたようだ。
 だけど、完全にあきらめることができるまで大人になれてはいない。
 だからどうしようもない衝動にさいなまれてのたうち回っている。カーストの前で。



 とくに何か好きなことがあるわけでもなく、友だちらしい友達もいない僕は帰宅部だ。
 僕が校舎から正門につづくスロープを下っていると反対側から数人の女子が駄弁りながら僕と逆に校舎の方へ歩いてくる。
 選択教科で「戦車道」を履修している連中らしい。
 すれちがいざまに、連中の会話が聞こえてきた。

「これから部活でしょー。午後いっぱい戦車道だったし、男っ気がないのなんのって」

 ふーん。
 でも君らの言う「男」って、たとえば制服の下にアルマーニのワイシャツ着ててもとおる、オサレ男子のことでしょ?
 ジャニタレ予備軍に僅差で入れないくらいの。

「でもさー。2の5の木村君ぐらいだったら、いっしょに戦車に乗ってもいいとか思わない?」
「いいよねー。戦車ってどうしたって身体がくっつくじゃん」
「いっそのこと女装させて、試合に出られれば、負けてもハッピーだよね」

 まあ、その程度のことは毎度のこと。
 神様は不公平だ。でも逆らえる相手でもない。

「ねえ、この次の対外試合で、何人か抜けたらかわりに木村君とか安田君とか、女装させて
 乗ってもらわない?」
「……いいわね、それ」
「こっそりみんなで話つけてこよーよ……」

 神様はとことん不公平だ。
 物体Aのだれかが戦車のハッチから出てきたら、ケーサツでこってりしぼられるし、戦車道授業を撮影でもしようものなら、教師たちに包囲されたあげくカメラ没収されてやっぱり警察が呼ばれる。
『女性専用車』に男が乗りこんできたら、次の駅で鉄道警察の婦警さんが乗りこんで職質だ。
 戦車道は女子しかできないから、どうしてもそうなるよね。
 現に変態男子のターゲットになりやすい。特にU23以下は……。

「ふう」 

 ためいきひとつ。
 あとはふ
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