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赤き巨星のタイタノア
第9話 結集する戦士達
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は痛ましい表情で見つめていた。

(防壁に閉ざされた惑星……。円華、貴方はその可能性に賭けたのですね)

 そして、従者である「彼女」が宇宙に発ったと聞きつけた雅は。
 自分が用意した縁談も娘の涙も、何もかも「台無し」にしてくれることを祈り――部屋に戻って行く葵に代わって、空を仰ぐのだった。

(どうか、必ず……連れ戻してください。帰りを待つあの子の背は、もう……見ていられません)

 ◇

 ――そして、地球から遠く離れたこの惑星では。予期せぬ「大怪獣」の出現に、神官達が騒然となっていた。
 数百年に渡り伝説として語り継がれてきた「災厄の化身」を前に、彼女達は悲鳴を上げている。

「キャアァアッ! か、怪獣がぁあっ!」
「なんで!? なんでまた、この星に!? どうしてよぉ!」

 だが、臆する者ばかりではない。逃げ惑う神官達を一括し、現場指揮を執る神官長が――眼鏡を光らせ高らかに叫ぶ。

「泣き言を抜かしている場合かッ! 総員、第1種戦闘配備ッ! 空戦艇部隊は直ちに離陸だッ!」
「し、神官長!」
「案ずるな、我々にはルクレイテ様と――主神タイタノアが付いておられる。急げ!」
「は、はいぃっ!」

 その一声に突き動かされ、烏合の集となっていた神官達は、次々と神殿付近の飛行場に駆け込んで行く。そこには、この星の数少ない「矛」である彼女達の飛行艇が配備されていた。
 丸みを帯びた白い円盤が、ふわりと宙を舞い――矢の如き速さで飛び去って行く。地球の科学では解明不能な挙動で飛ぶ、その姿は……地球で云うところの「UFO」のようであった。

(なぜあの大怪獣が……! 一体、何が起きている!?)

 神官長の素早い指揮が功を奏し、神官達はパニックに陥る前に臨戦態勢に入ることができた。……しかし、当の神官長自身の表情は暗い。
 この星の「災厄」を象徴とする、最強最悪の怪獣。その力は未だ、計り知れないのだから。

 ◇

 ――そして、聖域近辺での大森林では。赤き巨神が、外宇宙からの侵略者にいたぶられていた。

『ひぃぃい! 嫌だあぁあ! なぜ、なぜ余がこんな目にぃい!』

 頭を抱え蹲るタイタノアを、大怪獣は容赦無く蹴りつける。その痛みと恐怖、そして殺気に晒され、この星の守り神は恥も外聞もなく泣き喚いていた。
 対話の可能性など微塵も感じさせない冷酷にして獰猛な眼光が、その巨大な「獲物」を射抜いている。

「ち、父上……!」
「くそっ、もう始まっちまってる!」

 その光景を目の当たりにした威流は――居ても立っても居られず、ホルスターから光線銃を引き抜き走り出していた。

「タケル様!?」
「オレがあいつを引き付ける、ルクレイテさんはタイタノアを連れて逃げるんだ!」
「い、いく
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