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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十七話 一時間がもたらすもの
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のを自分達への不信と受け取ったか……。それで故意に反対した、有りそうな話だ。

「申し訳ない……。貴官に約束しておきながら私は役立たずだった。一つ間違えば基地は帝国軍に破壊されていただろう。貴官が疑うのも怒るのも無理は無い、だがこれが事実だ。私もシトレ元帥も貴官を謀殺しようなどとはしていない。その事は信じて欲しい」

ヤン中佐がヴァレンシュタイン少佐に頭を下げて謝罪した。
「少佐、ヤン中佐の言う通りだ。我々が貴官を謀殺するなど有り得ん事だ。幸い戦は勝ったんだ、ヤン中佐を責めるのはもう止めろ」

「そうです、少佐。少しは私達を信じてください」
俺とミハマ中尉が声をかけたがヴァレンシュタインは表情を緩める事無くヤン中佐を見ている。彼が納得していないのが分かった。きちんと話すべきだろう。

「ヴァレンシュタイン少佐、良く聞いて欲しい。我々は貴官を戦場へ送り出した。だがそれは貴官を謀殺するためじゃない、本当の意味で同盟市民になって欲しかったからだ」
「……」

「貴官は帝国に帰りたいのだろう。だが我々にはそれを認める事は出来ないのだ。酷い事をしているのは分かっている。だが貴官が帝国に戻り、ブラウンシュバイク公の腹心になられては……」

「何の話です? そのブラウンシュバイク公というのは……」
ヴァレンシュタインが訝しそうな表情をしている。何故隠す、もう隠さなくても良いんだ。貴官はブラウンシュバイク公の助けを待っていた、そうだろう……。

「隠さなくても良いだろう、貴官を帝国に戻そうと動いているアントン・フェルナーはブラウンシュバイク公の側近だ」
俺の言葉にミハマ中尉が驚いたような表情を見せた。彼女はアントン・フェルナーがブラウンシュバイク公の側近だという事を知らない……。

「私がブラウンシュバイク公の腹心? それを防ぐために私をヴァンフリートに送った?」
低い笑い声が聞こえた。ヴァレンシュタイン少佐が笑っている。だがその眼には見間違えようがない憎悪が有った。

笑いを収めるとヴァレンシュタインは冷たい目で俺達を見据えた。
「私がブラウンシュバイク公の腹心になるなど有り得ない」
「しかし、フェルナーは」
俺の言葉にヴァレンシュタインは頬に冷笑を浮かべた。

「彼は私が門閥貴族を憎んでいる事を、叩き潰してやりたいと考えている事を理解している。間違ってもブラウンシュバイク公に仕えろなどとは言わない」
「……」
違う、演技じゃない。彼は本心を語っている。我々は何か間違えたのか?

「よくもそんな愚劣な事を考えたものだ。自分達が何をしたのか、まるで分かっていない」
「少佐……」
ヴァレンシュタインの口調が変わった。口調だけではない、表情も変わった。さっきまで有った冷笑は無い、有るのは侮蔑と憎悪だけだ。その
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