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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十四話 信頼
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とと言い、苦戦している事と言い不本意の極みなのだろう。

単座戦闘艇(ワルキューレ)が上空に現れたのはそれから十分程経った頃だった。総勢二百機の単座戦闘艇(ワルキューレ)が基地を目指す。近接防御火器システムを全て潰す必要はない。何処か一箇所、集中的に破壊してくれれば良いのだ。後はそこから地上攻撃メカを投入すれば良い。

敵の対空防御システムが動いた。レーザー砲が単座戦闘艇(ワルキューレ)を狙うが単座戦闘艇(ワルキューレ)は低空飛行に切り替え基地を目指す。もう少し、もう少しで基地にたどり着く。その時だった、ラインハルト様が絶望の声を上げた。

「駄目だ、キルヒアイス。あれを見ろ」
ラインハルト様が指さす方向には同盟の単座戦闘艇、スパルタ二アンが編隊を組んでこちらに向かってくるのが見えた。
その数はどう見ても単座戦闘艇(ワルキューレ)よりも多い、おそらくは倍はあるだろう。単座戦闘艇(スパルタニアン)が上空から一方的に攻撃をかけてきた。単座戦闘艇(ワルキューレ)は抵抗できない、上空に向かえば対空防御システムの砲火を浴びるだろう。彼らに出来るのはただひたすらに基地を目指して進む事だけだ。そして多分、基地にたどり着く事は出来ない……。

指揮所の中から兵士が通信が入っていると伝えてきた。
『ミューゼル准将、応答してくれ、リューネブルクだ』
小型の通信機からリューネブルク准将の声が聞こえた。ちょっとざらついて聞こえる。電波の状態が良くないらしい。ラインハルト様が答えた。

「こちらミューゼル、リューネブルク准将、今連絡しようと思っていたところだ」
『気が合うな、ミューゼル准将』
苦笑交じりのリューネブルク准将の声が聞こえた。

『単座戦闘艇(ワルキューレ)による攻撃は失敗したようだ』
「残念ではあるが同意する」
二人の声は苦い。基地攻撃の手段が失われたのだ、無理もない。

『卿はあの単座戦闘艇(スパルタニアン)が何処から来たと思う? 敵の艦隊から来たと思うか?』
「いや、敵の艦隊が来たなら司令部が騒ぐはずだ。あれは敵の基地が寄越したものだろう。基地の向こう側に別に飛行基地が有ると思う」
『同感だ。では何故敵は今まで単座戦闘艇(スパルタニアン)を出さなかった?』
リューネブルク准将の声には笑いが有る。この状況で笑えるとはたいしたものだ。

「時間稼ぎだ。敵の増援が来るまでの時間稼ぎだろう。あの救援要請もそれが目的だ。我々はどうやら敵の罠に落ちたようだ」
『卿は話が早くて助かる。となるとこれからの事だが司令部に増援を求めても無理だろう。上空からの攻撃も受け入れてくれるとは思えん』
リューネブルク准将の言葉にラインハルト様の表情が歪んだ。

リューネブルク准将もラインハルト様も何度か艦隊による基地の攻
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