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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十一話 トラブルメーカー達
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いました。

私達以外にも何人かが搬入を見ています。私達が近付くと視線をこちらに向けて来ましたがヴァレンシュタイン少佐は気にすることも無く武器の搬入を見始めました。私とバグダッシュ少佐は少し離れた位置で武器の搬入を見ます。

「凄い量だな」
バグダッシュ少佐が感歎の声を漏らしました。同感です、本当に凄い量です。ヴァレンシュタイン少佐は一体これで何をしようというのか……。

バグダッシュ少佐は今回、急遽私達に同行しヴァンフリート4=2の防衛戦に加わると言い出しました。表向きの理由はヴァレンシュタイン少佐に陰謀ごっこと非難されたのを共に戦う事で払拭したいそうです。

もっとも本当の理由は別にあります。ヴァレンシュタイン少佐がどんな戦いをするのか、それを確認するのだそうです。一つ間違えば戦闘に巻き込まれ戦死するかもしれません。しかしバグダッシュ少佐は“ヴァレンシュタイン少佐の傍に居るのが一番安全かもしれん”と言っています。

ヴァレンシュタイン少佐はバグダッシュ少佐の同行に何も言いませんでした。勝手にしろと言わんばかりです。ハイネセンからこのヴァンフリート4=2まで少佐は殆ど部屋に篭りきりです。たまに部屋を出てきても無表情に何かを考えています。私達にまるで関心を持ちません。

食事の時もそれは変わりませんでした。まるで周囲との接触を故意に避けているかのようにも見えます。以前は第四艦隊に居た時もフェザーンに行くときに民間船に乗った時も少佐はお菓子を作ってお茶に誘ってくれました。クッキーやケーキやパイ……、特に少佐の作るアップルパイは絶品です。それが楽しみだったのですが今回は有りません。寂しいです……。

今も私とバグダッシュ少佐が傍に居るにもかかわらず、少佐は無表情に保管庫に運び込まれる兵器を見ています。

「いやあ、これは凄い、こんなのは始めて見るな」
声がした方を見ると二人の若い男性が居ました。一人は明るい褐色の髪をした瀟洒な男性です。もう一人は明るい髪をした男性でした。さっきまでは居ませんでしたから私達の後から来たのでしょう。

どうやら声を発したのは明るい褐色の髪の男性のようです。彼はこちらを見るとにこやかに笑いながら声をかけてきました。
「ミハマ中尉、小官はオリビエ・ポプラン少尉であります」

この人、私の事を知ってる?
「そう驚かなくても良いでしょう、以前から中尉の事が気になっていたのですよ。どうです、今夜、時間を取ってもらえませんか? それともヴァレンシュタイン少佐の許可が必要ですか?」

ちょっと私を挑発するかのような言い方です。ヴァレンシュタイン少佐を見ました。少佐は無表情に武器の搬入を見ています。もう少し何か反応が有っても良いでしょう! ポプラン少尉の誘いに乗っちゃおうかな? そう思ったけど止め
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