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相良絵梨の聖杯戦争報告書
米国大使館対盗聴防止貴賓室
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した部屋である。
 つまり、そういう話という訳だ。

「とりあえず、表向きの用件を先に片付けましょう。
 魔術協会カンカンです」

「良いことです。
 こちらが既に怒っている事を分かってくれるでしょうから」

 このあたりの温度差がそもそもの背景なのに、まだ魔術協会は事態を楽観視しているふしがある。
 既に彼らは世界を裏から操る合衆国の敵認定されかかっているというのに、お気楽なものである。

「で、本題に入りましょう。
 彼の死体を見せていただきたいのです」

 まさか女子高生から死体を見たいをのたまわれるとは思っていなかったらしく、がちCIAエージェントの顔が少しだけ歪む。
 とはいえ、その少しだけで元のスマイルに戻ったのはさすがと言わざるを得ないのだが。

「聖杯戦争の概要は既にお伝えしましたね。
 令呪が出ているかを確認しておきたいのです」

 サーヴァントへの絶対命令権である令呪と呼ばれる紋章の確認は、魔術協会からも確認を求められていた案件である。
 この令呪そのものが魔力の塊であると同時に、聖杯から認められた聖杯戦争参加者の証であるのだから。

「ミス神奈。
 お聞きしたいのですが、その令呪が未使用だった場合、別の第三者が聖杯戦争に参加できる可能性があると?」

「協会や教会にはそのような技術もあると聞き及んでおります。
 さきほど払った虫はそれがらみですよ」

 虫、つまりどこかの魔術師達が放った使い魔の事なんだが、彼らの目的もこの令呪にある。
 それが未使用で、移設や第三者が使用できるならば、入手した者のアドバンテージになるからだ。
 アンジェラ書記官の顔色が一気に悪くなる。
 つまり、揉め事を処理したと思ったら、別の揉め事に変わっただけなんて事になりうるからだ。
 
「どうぞ」

 しばらくしてアンジェラ書記官が数枚の写真を私に渡す。
 機体は空中分解では無く、海に激突した時に分解したらしく彼の死因は衝撃死ではなく水死だった。
 そして、彼の利き腕の令呪らしき紋章は全て薄く消えかかっている。

「……令呪が使われている?」

 私の声にアンジェラ書記官が嫌な顔をする。
 令呪の使用。
 つまり、そこにはサーヴァントが居た事を意味しているのだから。

「ミス神奈。
 サーヴァントというのは、飛行機事故からでも助かる存在なので?」

「可能性はあります。
 何しろ、英霊なんですから否定できない所がやっかいです」

 私はこれみよがしにため息をつく。
 これで魔力切れで消滅してくれたら万々歳なのだが、こういう時は最悪の可能性を考えておいたほうが良い。

「アンジェラ書記官。
 我々は科学技術の恩恵を受けて、この地球を狭くしてしまいました
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