暁 〜小説投稿サイト〜
ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
第一章 邂逅のブロンズソード
第5話 姫騎士の追憶
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して、最後の肉親である父のため。
 勝てない勝負だとしても、逃げられない理由があるのだから。

 ――だから、せめて。
 誰にも聞かれることのない、王宮の廊下の中で。縋るように、壁にもたれて。

「……ひ、ひぐっ……うっ……!」

 人知れず、涙を流すのだ。
 試合の場でだけは、泣かないように。

「誰か、誰でもいいから、助けてっ……!」

 あるはずのない助けを、求めて。

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