44.疑うと誰も信じられなくなる。疑わなければ信じられる。自分次第だ。
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<グランバニア城>
オジロンSIDE
「まったく!帰還早々我々を呼び付けるとは…いったい何を考えているのか!?」
ワシは大臣達と2階の会議室は向かい歩いているところだ。
国務大臣のエクリー(ワシの一番信頼の置ける側近)が、リュカの急な呼び出しに腹を立てている。
「試練に成功すれば既に国王とでも思っているのですかね!!」
エクリーの憤慨は止まる気配が無い…
どうもリュカとはソリが合わない様だ…
「戴冠式が終わるまではオジロン様が国王で在らせられるのに、そのオジロン様まで呼び付けるとは!いったいどう言…う………」
大声で不平を鳴らしつつ会議室のドアを開けると、そこにはリュカが優しい笑顔で佇んでいた…全身血塗れで…
「リュ…リュカ…無事か…?」
皆が声を失っている中、ワシは辛うじてリュカの無事を確認した。
「全部返り血です。ご心配なく…」
か、返り血…!?
「いったい何が…」
「試練の洞窟で命を狙われました。」
リュカは表情を変えずに優しい口調で話していく。
「い………いったい誰に………」
エクリーの疑問を聞くと、持っていた血塗れの包みをテーブルに置き中身を晒す。
表情を変えずに…
「彼と彼の手下10人程に命を狙われました」
そこには男の生首が1つ。
「大盗賊カンダタ!」
「あれ?叔父上の知り合いですか?」
「いや…そうではない。世界を股に掛けて盗賊家業を行っている犯罪者だ!」
「盗賊が殺し屋の真似事…クスッ…世も末だ」
「しかし…何故…?」
「この中の誰かが僕を王様にしたく無いんですよ」
ワシの問いに不思議そうに答えるリュカ。
「な!我々の中にその様な不届き者がいると、疑っているのか!!」
エクリーは声を裏返しながら憤慨する。
ワシも疑われるのは心外だ。
「あはははは…疑っているのではなく、確信しているのですよ!国務大臣閣下!!」
全身血塗れで腹を抱えて笑うリュカの姿に畏怖の念を抱き、言葉を発する事が出来ない…
「まぁ…正直…この中の誰であるかまでは分からないのですが、これだけは言っておきます。今回は僕の実力を過小評価してくれたお陰で、あの様なザコの相手で済み大事には至らなかった」
違う!
カンダタ一味はザコではない。
我が軍も再三手痛い被害を被っている!
「だが…もし、またこの様な事が起こりビアンカや生まれ来る子供に何かあったら…」
リュカの顔から笑みが消え、氷の様な瞳で我々を見つめている。
これ程恐ろしい怒りを感じたのは初めてだ。
兄上の怒号に恐怖を感じた事もあったが、それの比ではない!
一見するとただの優男にしか見えないのに…
「で……では…は、犯人捜しは…」
絞り出す様な声でエクリーが問いかける。
「別に犯人捜しなどどうでもいい!僕が
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