第二章〜緋の帝都 〜夏至祭〜 外伝〜波乱の鼓動〜
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氷の乙女”と恐れられているとは思えませんね。」
「フ……筆頭は彼女ではないがね。だが、彼女も含め全員よくやってくれている。老獪なる大貴族ども……”四大名門”の古狸を相手に。」
眼鏡の男性の言葉に苦笑した男性は真剣な表情になった。
「……そうですな。我々も我々で、肚を括って事に当たる必要がありそうです。」
「フフ……そう言ってくれるとありがたい。帝都ヘイムダル知事―――カール・レーグニッツ閣下。」
「こちらこそ……エレボニア帝国政府宰相、ギリアス・オズボーン閣下。」
男性――――オズボーン宰相の言葉に力強く頷いた眼鏡の男性――――レーグニッツ知事はオズボーン宰相を見つめた。
〜同時刻・アルノール家の私室〜
一方その頃皇家の私室でオリビエ――――オリヴァルト皇子はある人物と会話をしていた。
「――ああ、だからこそ私も出向くというわけなのさ。来月クロスベルで開かれる”西ゼムリア通商会議”……”通商”とはいいながら、実質、西ゼムリアにおける初の国際会議と言ってもいい。経済だけでなく、安全保障を含めた統合的な議論が交わされるはずだ。」
「なるほど……だから、元首クラスの方々が各国から参加されるんですね?」
オリヴァルト皇子の話を聞いた金髪の少年は頷いて尋ねた。
「ああ、カルバード共和国からはロックスミス大統領。レミフェリア公国からは国家元首であるアルバート公。リベール王国からは女王代理のクローディア王太女。主催地、クロスベル自治州からはクロイス市長とマクダエル議長。いずれも各国のトップか、それに準じる人間が参加する予定さ。」
「その点、エレボニアからは帝国政府代表のオズボーン宰相……ですがエレボニアの国家元首は皇帝である父上ですよね?」
「ああ、だからこそ私のような一応皇族に連なる人間がついでに付いていくわけだ。参加者の釣り合いを取る為にね。」
金髪の少年の疑問に頷いたオリヴァルト皇子は説明をした。
「一応だなんて……でも、やっと納得が行きました。……面目ないです。兄上に教えていただくまでそんな事情も知らないなんて。」
「ふむ……?」
肩を落としている少年の様子にオリヴァルト皇子は不思議そうな表情をした。
「……最近、このままでいいのかと思ってしまうことがあるんです。兄上に比べたらまるで勉強不足で力も、機転も全然足りなくて………………こんな僕が、いずれ父上の跡を継いでもいいのかって……」
「……フフ。同じようなことを、リベールのクローディア殿下も仰っていたよ。」
不安そうな表情をしている少年を元気づけるかのようにオリヴァルト皇子は静かな笑みを浮かべてある事を口にした。
「え…………」
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