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執務室の新人提督
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軽めに称されるそれであるが、中身は艦娘の兵器開発である。現在進行形の秘匿情報である。そんな物が軍部の情報から漏れて一般の電子百科に載ろうものなら、国家の一大事だ。しかも現状での開発レシピは不安定な物ばかりで絶対的なものは無く、またそれぞれの鎮守府についた提督独自の、いわば試行錯誤の物ばかりだ。レア艦娘建造レシピの様にほぼ確定され、公開を許されたレシピなど開発レシピには殆ど無い。
 
「まぁ、提督ですし」
「そうね、提督ですものね」

 提督の奇矯な言動に一つ項目が増えただけである。その程度は流してしまえる程度に加賀と初霜は提督を理解してた。具体的にはベットの下の本を見つけてしまった母親や姉の様な物だ。あぁ、年頃ですものね、と流すだけである。ちなみに、初霜はそのままそっと戻し、加賀は机の上にそれを置くタイプである。
 
「あぁ、そう言えば提督といえば……青葉と同じように、提督にも少し質問をしてみたの」
「部屋からでてどうするか、何をしたいか、とかのあれですか?」
「そうね、それね。で、どこに行きたいかと聞いたら、あの人なんて答えたと思う?」
「……なんです?」

 初霜の真剣な相に、加賀もまた真剣な相で応える。
 
「趣味の悪いネクタイをつけて空港のロビーに行きたいと」
「……?」
「その後、過去にあった飛行機事故の話をして、レバノン料理を食べてから何もせず帰ると言っていました。一人で」
「大淀さんにお医者様を手配してもらうべきかしら……」

 どうでもいい話だが、提督が空港のロビーと口にしたのを聞いた加賀は小さくガッツポーズをし、その後の話を聞いて握った拳で壁を殴った。驚いていた提督に加賀は、虫が居たので、と誤魔化しておいたが、それを提督が信じたか信じていなかったのかは加賀には分からなかった。そしてもっとどうでもいい話だが、レバノン料理は食べられる場所が大分限られている。恐らく日本の空港の食堂では口に出来ない筈だ。もう一つどうでもいい話だが、空港で一人航空事故の話などしていると、まず間違いなく警備員に連れて行かれるのでお試しの際はご了承下さい。
 
「ところで……」

 加賀は一度初霜から目を離し、自分の湯飲みへ目を落とした。茶柱などは立っておらず、ただ薄緑の液体が注がれているだけだ。それに映る自身の顔を見てから、加賀は初霜に視線を戻した。
 
「青葉が何しているか理解しているのね?」

 先ほどの加賀の会話に、初霜はすぐに応じた。それは初霜が加賀と同じ情報を持っているからに他ならない。初霜は常の表情で頷き、湯飲みを口元へと運んで小さく仰いだ。控えめに喉を鳴らし湯飲みをテーブルに戻して、彼女はゆっくりと口を開いた。
 
「加賀さんには直接?」
「いいえ」

 加賀は首を横に振った。扶桑と青葉が一
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