第1章:平穏にさよなら
第5話「狂気」
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=緋雪side=
「っ....!」
黒服の男達に連れられ、使われなくなった倉庫の奥に手を縛られる。隣には月村さんとバニングスさんも同じように縛られていた。
「ちょっと!何よアンタ達!」
「あ、アリサちゃん...。」
そんな男達に怯まず、叫ぶバニングスさん。
「...誘拐って言う事は、私はともかくとして、裕福な家系である二人の身代金が目的か....また、別の目的があって誘拐したか。....って事だよね。」
私が誘拐で考えられる目的はこれだけだ。別の目的って言うのにも心当たりがある。実際、“別の目的”の所で月村さんが反応を示していたから多分、確実だ。
「へぇ、そこの嬢ちゃんはオマケにしてはなかなか頭が切れるみてぇじゃねぇか。」
「....そりゃどうも。」
男の一人がそう言ってくるのを適当に返す。...というか、オマケって...。
「なに?身代金が目的って訳?確かにあたし達の家は裕福だけど、そんな事しでかしてただで済むと思ってんじゃないでしょうね?」
バニングスさんが男達に突っかかるように言葉を放つ。...そんなに挑発染みた事言って大丈夫なの?軽率すぎじゃぁ...。
「残念。身代金が目的じゃない。そこの嬢ちゃんが言った通り、“別の目的”だ。」
「っ....!」
男の言葉を聞いた瞬間、月村さんは体を強張らせた。
「俺たちは一種の掃除屋みたいな奴でな...。今回の依頼はそこの男の依頼だ。」
そう言って、男は一人の服装が違う男性を示す。
「....最初からこの倉庫にいた男...。」
私達が誘拐されてここに連れられた時、既にここの倉庫には一台の車が停まっていて、中に数人の黒服の男と、その男性がいたのを思い出す。
「君達は勘違いしているようだね。確かに、誘拐染みた事をしたが、今から行う事はれっきとした“正義”だ。」
「は?正義?」
演説者のように突然喋りだした男性にバニングスさんが思わず聞き返す。
「そうだ!私達人間の中に紛れてのうのうと暮らしている“化け物”への断罪...それが私達が行おうとしてる事だ!」
「っ......!」
化け物...ねぇ。
「化け物?....そんな事言って、あたし達を誘拐した事に関係ないじゃない!」
「関係あるさ。何せ、“化け物”は今君の隣にいるのだからね!」
そう言って月村さんを指差す。...どうでもいいけど、なんなのこの男。正義の執行者気取り?今時の正義の味方でもこんな事しないわよ。...今時じゃなくてもしなさそうだけど。
「すずかが化け物ですって!?ふざけるのも大概にしなさいよ!」
「ははは。
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