書の守り人
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周りには女性物の服が不自然に脱ぎ散らかされている。
テーブルの上に置かれたカップといい本といい、内側から掛けられた鍵も、異様な感じを受ける。
「お留守……では、なさそうですが」
「面倒臭ぇ。気になるなら蹴破れば良いだ、ろっ!」
ベゼドラが乱暴に扉を破壊する。クロスツェルは呆れて肩を持ち上げるが、声を掛けても返事が無かったので、きちんと断りを入れてから足を踏み入れる。
ざっと中を見渡した限り、おかしな所は無い。
外から見たテーブルと長椅子の周りの不自然さ以外は。
カップの中には腐った紅茶。長椅子の乱れたカバーには、なんらかのシミと黒っぽい斑点。服の主の姿は何処にも無い。
「どう思います?」
「いちいち俺に訊くなよ」
荒れた畑、屋根に高く積もった雪、朽ちた家畜の姿。
エルフの森を真っ直ぐ下りて見付けたこの家は、廃墟に近い。
「何か書いてあるかもな」
何気無くベゼドラが手に取った本の内容は、彼の目にも懐かしい文字で綴られていた。
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