第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
24.July・Midnight:『Saint's』U
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ように猛然と、白熱する程に燃え盛りながら。『魔女狩りの王』は息衝く暇もない連打を繰り出す。否、そもそも呼吸などしていないのだろうが。
だが、周りの酸素は着実に燃やしている。近くに居ては危険だと、頭では分かるのだが。
「“炎よ────巨人に苦痛の贈り物を”!」
「チッ─────!」
少しでも巨人から距離を稼げば、今度はステイルの『炎剣』が熱量を剥く。斬ったモノを白か黒の灰に還す、必滅の炎の剣が。
振り抜くように放たれた、扇形の熱波。それを偃月刀の『守護の印』で防ぐ。第一の加護、『竜頭の印』が軋むように煌めいて。
「どうした、吸血魔術師────わざわざ、僕の前に現れてその程度か?!」
二度、三度と『炎剣』を振るいながら、ステイルは吠える。砕けた第一印、その代わりに『第二印』が。
「言ったな、貴様は。僕の願いは届かないと……ああ、確かに。確かに届きはしない、僕の願いは! もう、『あの娘』には!」
『魔女狩りの王』の剛腕に耐え切れず、第二印が砕け散る。代わり、浮かび上がるのは第三印。
「だが、否、だからこそ! 僕には果たさねばならない意地がある……例え、それが────自己満足に過ぎないとしても!」
第三印が、『炎剣』二本に弾ける。最後に展開されたのは、『竜尾の印』。
「それだけが、僕の……僕らの、ただ一つ祈りだ!」
最強にして、末期の祈り。それは、対抗者の心の揺らぎを察してか。些かも、揺らがず。炎の剣、扇形の熱波を受け止めて。
「流石だな────だったら、ぶっつけ本番だとしても……こっちも、全力で応えなきゃなァ!」
だが、一切の恐れもなく。嚆矢は剣牙を剥いて獰猛に笑い、『賢人バルザイの偃月刀』を掲げる。
虚空に浮かぶ守護の印、それは加護、そして呼び掛け。この場には居ない、だが、遍く時空に接する神への祝詞の始まりである。
「飢える─────」
だから、届く。この地球上の何処でも、この印は。その浄句は。
厳かに、嘲るように。唱えたその言葉は、異なる時空に潜む『外なる神』にも届くのだ。
「飢える、飢える、飢える────!」
泡立つように、偃月刀の玉虫色が揺らぐ。漆黒の原形質が爛れ落ちる。ダマスカス鋼じみたその祭具、その奥から覗く漆黒と無数の血色の瞳。悍ましい、眼が合うだけで、魔術行使で生命を削った以上の精神的苦痛。それすら、歯を食い
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