第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
24.July・Midnight:『Saint's』U
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しょう》である真空、その物と化したこの右腕ならば。実体の無い炎でも、掴めるのだ。
「な─────」
十字が、虚空を舐める。脇のビルの外壁に、巨大な十字が刻まれる。
ステイルの意思ではない。そう────投げられたのだ、嚆矢に。
「有り得、ない……」
『魔術』でも、『能力』でもなく。ただ、日々研鑽した『武術』でもって。
そして既にその怪人は……嚆矢は、ステイルの真正面。その右腕、ステイルの襟首を掴んで。
「立 ち 消 え よ、立 ち 消 え よ、立 ち 消 え よ!」
「きさ、ま──────??!」
いつかの意趣返しか。刻まれた『消沈の三大神刻文字』が、ステイルのあらゆる力、意思を削ぎ落とす。
最早彼には、抵抗の意思すらなく。まな板の上の鯉の如く、ただ、嚆矢の為すがまま──────背中から、アスファルトの路面に叩きつけられて昏倒した。
「────借りは、返した。前回の礼だ、命は預けといてやる……!」
立ち上がり、残心を示しながら。術者を失い、今度こそ消滅していく『魔女狩りの王』の残光を背に。
「────大したもの。ステイルが敗れるとは……評価を誤りました、吸血魔術師」
「…………!」
いつの間にか、この場所に立っていた黒髪の女────抜き身の刀を携える、神裂火織と相対したのだった。
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