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万華鏡

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第八十二話 近付く卒業その十三

「いけたわ」
「それはよかったわね」
「終業式も気持ちよく迎えられるわね」
「うん、そしてね」
 終業式の話をしながらだ、琴乃はその前の大イベントのことも話した。
「卒業ライブもね」
「三年の人達を送る」
「それもなのね」
「気持ちよく練習出来てね」
 そして、というのだ。
「気持ちよくね」
「本番も出来る」
「そういうことね」
「そう、だからね」
 それでだとだ、琴乃はクラスメイト達に笑顔のまま語る。
「テストが出来てよかったわ」
「やっぱりテストがよくないとね」
「すっきりしないわよね」
「どうしてもね」
「勉強のことは」
 学生にとってテストは絶対のものだ。まさにその良し悪しが生徒の評価なり気持ちのかなりの部分を占める最重要事項だ。それでその結果がよければというのだ。
「それじゃあね」
「琴乃ちゃんもね」
「気持ちがすっきりしてるのね」
「かなりね」
 実際にそうだった、今の琴乃は。
「よかったわ、けれどね」
「結果がね」
「予想と違ったら」
「ええ、悪かったらね」
 自分の予想とは違いだ、そうであったらとだ。琴乃は往々にしてあるそのケースについても話すのだった。
「へこむわね」
「自信があっただけにね」
「どうしてもね」
「ええ、けれどね」
 それでもとだ、琴乃はこうも言った。
「それでも終わったことは終わったわ」
「一年生の最後のテストがね」
「それがね」
「名前も書いたし問題のずれとかもなかったし」
 何度もチェックしてそれは確かめた、解答は出来ていても解答欄に書いているのがずれているということもある。
「だからね」
「そっちもなのね」
「安心出来るのね」
「流石にそれはね」
 テストの名前を書き忘れるといったことはだ。
「恥ずかしいからね」
「入試だったらそれでアウトだしね」
「もうそれだけでね」
 案外これで落ちる人は多いという、実際に。
「それで駄目とかね」
「洒落にならないからね」
「だから私もチェックしたの」
 その名前のところをというのだ。
「最初に書いたし」
「名前がないとアウト」
「それを意識してよね」
「そう、もう書いたから」
 だからだというのだ。
「少なくともそれで零点はないわ」
「赤点じゃないわよね」
 クラスの一人が具体的なアウトを言ってきた。
「それは」
「まあそれはね、多分ね」
「ならいいわね」
「六十はいってるわ」
 それだけの点は取っているというのだ。 
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