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万華鏡

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第八十二話 近付く卒業その十二

「本当に」
「うん、そうよね」
 彩夏もだった、母が作ってくれたその及第粥を食べつつ応える。
「テスト中の夜食で食べると余計に」
「ラーメンとかうどんもいいけれどさ」
 夜食の定番だ、こういった麺類も。
「お粥もいいんだよな」
「そうなのよね」
「しかしお粥っていってもな」
 今度はお粥のことを話す美優だった。
「それぞれ違うんだな、国によって」
「日本のお粥と中国のお粥でね」
「同じ様で作り方が違うんだよな」
「そうよね、だから味もね」
 琴乃も食べながら美優のその言葉に応えた。
「違うのよね」
「どっちも美味いけれどな」
「そうよね」
「リゾットなんかもいいわよね」
 里香はこちらの料理を出した、イタリア料理だ。
「イタリアのお粥も」
「あれもね」
「あれもね、それにオートミールも」
「パン粥もいいわよ」
 琴乃はこちらも出した。
「牛乳の中にパンを入れて煮たあれね」
「ああ、あれも確かに」
「そうよね、美味しいわよね」
「あれもね」
「オートミールねえ」
 景子はオートミールと聞いてだ。首を少し傾げさせてそのうえでこうしたことを言った。
「あれねえ、何かね」
「何か?」
「何かっていうと?」
「あれ私も結構好きだけれど」
 それでもと言うのだった。
「何か普通のお粥より腹持ちいいわよね」
「そういえばそうよね」
 言われてだ、琴乃も気付いてそのうえで景子に応えた。
「オートミールって」
「そうよね」
「牛乳のせいかしらね」
「あと麦もあるんじゃないかしら」
「お米と比べて腹持ちいいっていうのね」
「そうじゃないかしら」
 景子もこう琴乃に返す。
「それでね」
「成程ね」
「じゃあこれ食べて」
 この及第粥をだ、景子は今も食べつつ言って。
「テスト勉強頑張ろうね」
 笑顔でこう言ってだ、そしてだった。
 粥を食べた後でまた勉強に励んだ、そうした勉強の介があって。
 琴乃はテストが全て終わってからだ、クラスメイト達にほっとした顔でこう言えた。
「多分だけれどね」
「テストよかったのね」
「そうだったのね」
「里香ちゃんに教えてもらったからね」
 苦手な場所をだ、それでだというのだ。
「結構出来たわ」
「里香ちゃん頭いいからね」
「あっちのクラスで一番だからね」
 里香のいるクラスでだ。
「あの娘に教えてもらったらね」
「やっぱりいいわよね」
「ええ、まあ結果はね」
 それはというと。
「わかるのはちょっと先だけれどね」
「それまではね」
「不安だけれどね」
「けれどいつもよりはね」
 琴乃はそのほっとした笑顔のまま言う。
「出来たと思うわ」
「じゃあ結果が楽しみね」
「そういうことね」
「楽しみとまではいかないけれどいい終わり方でね」
 いつもより出来た、それでというのだ。 
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